2019年

1月

05日

米軍基地負担に関する意見書提出

12月議会では、日本共産党市議団の長尾達也議員、無所属の松本煕議員(社民党県連代表)とともに、「全国知事会の『米軍基地負担に関する提言』の実現を求める意見書」案を議員提案しました。

 これは、昨年7月の全国知事会が全会一致で採択した「提言」の内容を早期に実現するよう政府に求めるものです。

関連の2018年7月28日付琉球新報記事はこちらへ

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-770348.html

 

 

全国の地方議会でこの動きが広がってます。米軍機の低空飛行の被害もある鳥取県、イベントや共同訓練時に米軍機が飛来している美保基地を有する境港市でもこれを後押ししようと、提案しました。

 意見書案は全国知事会の「提言」の内容に沿ったものにしました。自民クラブ、公明党の会派以外の多数の賛成を得て可決し、意見書を送付していただきました。

 

全国知事会の「米軍基地負担に関する提言」の実現を求める意見書

全国知事会は、平成2811月に「米軍基地負担に関する研究会」を設置し、日米安全保障体制と日本を取り巻く課題、米軍基地負担の現状と負担軽減及び日米地位協定をテーマに、資料に基づき意見交換を行うとともに、有識者からのヒアリングを行うなど、共通理解を深め、今年7月の全国知事会議において、「米軍基地負担に関する提言」を決定した。

 「提言」は、①米軍基地の存在が、航空機騒音、米軍人等による事件・事故、環境問題等により、基地周辺住民の安全安心を脅かし、基地所在自治体に過大な負担を強いている側面があること、②基地周辺以外においても艦載機やヘリコプターによる飛行訓練等が実施されており、騒音被害や事故に対する住民の不安もあり、訓練ルートや訓練が行われる時期・内容などについて、関係の自治体への事前説明・通告が求められていること、③これまで米軍基地の返還等が進んでいるが、沖縄県における米軍専用施設の基地面積割合は全国の7割を占め、依然として極めて高いこと、④日米地位協定は、1960年の締結以来一度も改定されておらず、補足協定等により運用改善が図られているものの、国内法の適用や自治体の基地立入権がないなど我が国にとって、依然として十分とは言えない現況であること、⑤沖縄県の例では、県経済に占める基地関連収入は復帰時に比べ大幅に低下し、返還後の跡地利用に伴う経済効果は基地経済を大きく上回るものとなっており、経済効果の面からも、更なる基地の返還等が求められていること、といった米軍基地負担の現状や改善すべき課題を確認している。

 47都道府県知事が、「各自治体住民の生活に直結する重要な問題」として、米軍基地負担の現状や改善すべき課題について共通理解を深め、米軍基地の負担軽減や日米地位協定の抜本的な見直し等に関する提言を決定したことは、極めて重いものである。日本と同様にアメリカと地位協定を結ぶドイツ、イタリアともに、過去の米軍機の事故をきっかけとした国民世論の高まりを背景に、地位協定の改定や新たな協定の締結交渉に臨み、それを実現させている。

 美保飛行場へ米軍機の飛来が過去も実施され、鳥取県内では米軍機による低空飛行が目撃されている。市民の安全を守るためにも、日米地位協定の見直しが必要である。

 ついては、国において、国民の生命・財産や領土・領海等を守る立場からも、全国知事会の「米軍基地負担に関する提言」が提起している下記の事項について、一層積極的に取り組まれ実現を図るよう強く求める。

1 米軍機による低空飛行訓練等については、国の責任で騒音測定器を増やすなど必要な実態調査を行うとともに、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行い、関係自治体や地域住民の不安を払拭した上で実施されるよう、十分な配慮を行うこと。

2 日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入りの保障などを明記すること。

3 米軍人等による事件・事故に対し、具体的かつ実効的な防止策を提示し、継続的に取組を進めること。

また、飛行場周辺における航空機騒音規制措置については、周辺住民の実質的な負担軽減が図られるための運用を行うとともに、同措置の実施に伴う効果について検証を行うこと。

4 施設ごとに必要性や使用状況等を点検した上で、基地の整理・縮小・返還を積極的に促進すること。

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

 

 

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2019年

1月

03日

新年あけましておめでとうございます

あっという間に2019年を迎えました。

年末は21日に12月議会を終え、同日議会だより編集会議、中国電力説明会と続きました。その後も「軍事費削ってくらしと福祉・教育の充実を 国民大運動境港市実行委員会」の市交渉、各種クリスマス会などに参加、街頭宣伝や市民からの相談にも取り組みながら、合間を縫ってしんぶん赤旗の集金や年越しの準備などなど。それぞれに報告できていなくてスミマセン。

 これから少しまとめてご報告。

今日はとりあえず、12月議会の報告。まずは一般質問。

 今回は、これまで当事者の方からの相談に乗った経験もあり、いつか取り上げたいと思っていた、性的マイノリティの方が暮らしやすい環境の整備について。昨年の杉田水脈衆議院議員の差別発言についてもきちんと見解を示して、多様性を受け入れる社会の構築へ進んでいく必要があると思いました。いつもどおり、安田文責でご紹介します。

 

文末に鳥取県のリーフレットと千葉市のガイドラインを紹介しています。こちらもぜひご覧ください。

 

同性パートナーシップ制度など、性的マイノリティ(少数者)の人が安心して暮らせる社会について

【安田】児童虐待、セクハラ問題、官公庁での障がい者雇用水増し、外国人労働者・技能実習生の劣悪な実態など、今年に入ってからだけでも、全国でさまざまな問題、課題が表れており、性別、人種、年齢や障害の有無などにより差別されることなく、一人ひとりが能力を発揮できる全員参加社会の実現、多様性社会、ダイバーシティの推進が叫ばれるなかで、非常に残念な状況です。私は、どういう立場や分野の問題であれ、マイノリティ(少数者)の人たちが肩身の狭い思いで生活せざるをえなかったり、あるいは差別や偏見のためにありのままの自分を肯定できなかったりすれば、それは健全な社会とは言えないと考えます。逆に、マイノリティといわれる人たちが暮らしやすいほど、その社会のすべての人にとっても暮らしやすい社会だと言えるのではないでしょうか。

特に、性的マイノリティをめぐっては、性意識・性行動にかかわる事柄であり、ふだんほとんど公然と語られることがなく、当事者がカミングアウト(公表)しなければ事態が表面化しないということもあり、関心が高まりつつあるものの、理解が進んでいるとは言い難い状況です。

1)そこで、まず伺いたいのは、今年夏、杉田水脈衆議院議員による発言についてです。杉田議員は「LGBTのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がないのです」などと雑誌へ寄稿し、国内外の人々、LGBT当事者団体、難病患者支援団体、障害者支援団体、与野党の国会議員、大臣、弁護士、大学教授、芸能人など著名人からも批判が殺到しました。「生産性」という物差しで行政支援の必要性を説くことは、同性カップルのみならず、結婚を選ばない方、子どもを持たない方に対する攻撃とも言えます。性的マイノリティへの無理解、偏見、差別を許さず人権を守ることが、一人一人が大切にされ、誰もが生きやすい社会につながります。市長は、この杉田水脈議員の発言についてどのようにお考えでしょうか

2)次に、2014年、オリンピック憲章に「性的指向による差別の禁止」が加えられ、国も「ニッポン一億総活躍プラン」等において、「性的指向、性自認に関する正しい理解を促進するとともに、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進める。」と明記ししています。地方自治体においても更なる性的マイノリティへの配慮意識の醸成が必要となっています。今年3月議会での質問に市長、教育長とも、市民や職員・学校職員対象の研修を行い、子どもたちへの指導・教育に取り組むと答えられました。こうした研修や啓発とともに重要なのが、誰もが暮らしやすい環境の整備です。そこで伺います。本市で、性的マイノリティの人が暮らしやすい環境づくりのためにどのような配慮や施策がとられていますか

3)今、当事者を含む「自治体にパートナーシップ制度を求める会」が、同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」の導入を求めて、多くの自治体で当事者の住民がそれぞれの議会に請願、陳情、要望書を提出するなどの運動に取り組んでおられます。米子市にも陳情が提出され、全会一致で可決され、報道によれば、伊木市長は「差別解消に取り組み、必要な制度について議論していく」と導入に意欲を示したとのことです。諸外国では同性カップルにも法的な家族としての保障を行っており、G7の中で同性婚も同性パートナーシップ法もないのはついに日本だけと言われています。日本でも自治体から同性パートナーを公的に認証する制度が広がりつつあります。いわゆる同性パートナーシップ制度は、直接的な法的効力はないものの、企業や社会に与える効果は大きく、異性間の事実婚と同様に、同性カップルを事実上の家族として扱う動きが広がりつつあります。現在9自治体が導入し、今年7月現在、195組が同性パートナーとして認められています。さらに千葉市、熊本市など9自治体が導入をすでに予定しています。性的マイノリティは都会だけにいるのではないし、先進的な自治体にしかできないわけでもありません。本市でも同性パートナーシップ制度の導入について、検討しようではありませんか。市長の見解を伺います。

 

【中村市長】

1)本市では、平成3年に人権尊重都市宣言をし、人間の自由・平等、幸福を求める権利等の基本的人権の尊重を市民一人一人が自覚し、市民全体の中でその実現を確立しなければならないとしております。多様な価値観と生き方がある中で、人権が尊重され、多様性が尊重される社会をつくっていくことは、当然のことでありまして、杉田議員の発言は、共助共生社会を構築するうえで、相容れず、問題への理解不足と当事者への配慮に欠けた発言であったと感じております。

2)誰もが心豊かに安心して暮らせるまちづくりのためには、お互いを知り、関わりを持つことが必要だと考えます。性的マイノリティの人は、まわりにいないのではなく、気づいていないだけだと言われています。性的マイノリティに対する無関心や誤った認識が偏見や差別を生み、当事者が生きづらさを感じていると聞きます。性的マイノリティについての正しい理解と立場が異なる一人一人が何をし、社会全体でどう取り組むべきかといった、市民に向けた研修や啓発に取り組んでいます。

3)パートナーシップ制度は、自治体や企業が同性カップルに対して独自に定めた権利や特典であり、健康保険の被扶養者にできない、勤務先の福利厚生の適用が受けられない、公営住宅の申し込みができない、など、異性の夫婦との不平等を是正するために、婚姻関係に相当する権利を認めることを目指すものであります。パートナーシップ制度を導入している自治体では、条例を制定しているのは渋谷区のみで、他は、要綱としての制度であります。また、導入自治体も少ない状況にあることから、課題や問題点など、十分に調査研究し、慎重に検討してまいりたい。

 

追及

1)

【安田】追及の初めに、性的マイノリティという表現について、ですが、これまで性的マイノリティは、一般的にはLGBTと称されることが多いです。これはレズビアン(L=女性同性愛)、ゲイ(G=男性同性愛)、バイセクシャル(B=両性愛)、トランスジェンダー(T=性同一性障害などこころと身体の性が一致しない人等)をさす用語です。性自認や性的指向が明確ではない人クエスチョンQという表現も加えてLGBTQと表現されることも多くなっていますし、多様なセクシュアリティを表す「LGBTs」という言葉もあります。

 しかし、性的マイノリティには、こうした類型にあてはまらない人たちもたくさんいます。たとえば、性の発達が先天的に非定型的である「性分化疾患」(インターセックス)の人たち、や性自認が中性である又は性別を決めたくない人エックスジェンダーもいます。

 最近では、LGBTという言葉のほかに、性のあり方の多様性を認める立場からSOGIという用語が使われるようになってきました。これは、Sexual Orientation(性的指向)と Gender Identity(性自認)の頭文字をとった言葉で、「ソギ」または「ソジ」と読みます。

 LGBTという用語は、当事者自身が積極的に使い、社会的にも広く認知されていますが、少数者(マイノリティ)と総称する表現も差別的と捉える考え方もありますが、マイノリティの人たちが暮らしやすいほど、社会の成熟度が高まっているというのではないかという考えから、今回は性的マイノリティという言葉をつかうことにしました。

質問内容にもどりますが、杉田水脈議員は、2015年にもネット番組や自身の公式ブログでLGBTの方々への差別的な発言を発信しています。こういった考え方、子どもを産むことだけを生産性としていることも誤りです。子どもを産まないこういった方々でも、さまざまな社会的な生産を生んでいる方もおられますし、もし、何もできることがない、あるいはとても少ないとしても、存在しているだけでも意味があると思う親族や友人がいる限りは、その方の生きている意味ということも非常に大きなものだと思います。こういった、杉田水脈議員の考え方については、優性思想、神奈川県相模原市の障害者施設での大量殺人犯の思想にも通ずるものがあり、もちろん、個人個人がどういった思想を持とうが自由ではありますが、国会議員という公的な立場にある人の発言としては、やはり誤りであり、市長が言われたように、間違ったもの、関係者への配慮を欠くもの、理解不足なものだということをしっかりと指摘をしていくことが必要だと思います。さまざまな立場から、市民の皆さんや教育機関の中でも、こういった差別的な発言については、誤りを正していったりすることも必要になってくるかと思います。教育長としても、教育者の立場から、杉田水脈議員の発言に対して思いがあったのではないかと思いますので、教育長のご意見も聞かせていただけたらと思います。

【松本教育長】マイノリティということに関して、我々はすべての人間は何らかの分野でやはりマイノリティを持っている、やはり人権尊重する社会が本当に作られるというのは、多様性がどう受け入れられるか、そこがスタートだろうと思います。学校で起こっているいじめ、これも、やはり多様性というものが受け入れられない中で発生をしています。そういった中で、この議員の発言というのは、市長の方からお答えがあったように、決して受け入れられない発言であると認識しています。

【安田】杉田議員の発言を擁護するような特集を組んだ雑誌が廃刊に追い込まれたことで、一応の終息を見せていますが、こうした公的な方による発言、そこから派生する構造的な偏見だとか、差別を解消し、一つ一つ丁寧に対応していくことが非常に重要だと思いましたので、この質問をさせていただきました。

2)

私自身、日常生活の中で、なかなかこの性的マイノリティの方に出会うということ、出会っていないのではなくて、気づいていないということなんだと思いますが、経験はありませんが、潜在的におられるんだなという経験はしたことがあります。病院、学校、市役所で相談を受ける仕事をしておりましたが、その中で、LGBTの方にお会いすることがありました。しかし、そのことをあえてほかのスタッフに話す必要もなく、私の心と記録にとどめるということだったのですが、その時も、そのことにことさら驚かないだとか、詳しく聞きすぎないというような細かい配慮も必要だったわけですが、そういう対応が当たり前になるくらいな社会になるためには、まだ未成熟な社会ではないかと思っているところです。ただ、今、LGBTの方に関心が寄せられたり、理解が進む中で、周りに本当の自分のことを伝える、カミングアウトする方も少しずつ増え、広がってくる、「実はゲイです、レズビアンです、トランスジェンダーです」とカミングアウトする人が増えてくる、そういったときに、どういった対応をするかということが求められる時代に入っていくと思います。逆に言えば、カミングアウトしたときに、大きな傷つきを受けている方もこれまでたくさんおられたのではないかということでもあります。同性愛については、思春期以降でないと気付かないかもしれませんが、体の性と心の性の不一致、トランスジェンダーについては、幼少時のころから、早い時期から違和感に気づくということもあると思いますが、自分のセクシュアリティが他の多くの子たちとは違うと気付いた時に、性の多様性についてやはり前向きな情報がほとんどないというのは、大きな問題だと思いますので、啓発や研修が今本当に十分な状態なのか、ということについてはしっかりと考えていただきたいと思うのですが、啓発や研修が十分かということについてはどのように感じているでしょうか。

【中村市長】いろいろ機会をとらえてそういった啓発に努めているところでありますが、この問題についてはさらに取り組みを深めていかなければならない問題だと認識をしております。

【安田】もうおひとり、私が相談を受けた方の中で性的マイノリティの方がおられましたが、この方は、体の不調も併せて、自分の性自認をカミングアウトしたことによって会社を辞めなければならないという事態にありました。そういう意味では、(田口議員が指摘した)市役所の中での(理解や福利厚生の)こともありますし、民間企業の中でも啓発が必要ではないかと思います。指針やガイドラインを示して、市役所でも、学校でも、あるいは民間企業の方がそれを見ればどういうふうに対応すればいいのかということもわかるもの、というのは公表していく必要があるのではないかと、そういうことを市が発信していくことによって、啓発にもつながりますし、自分たちは大事にされているんだという感じを当事者の方に持ってもらえるということにつながると思いますが、ガイドラインの作成についてはいかがでしょうか。

【伊達総務部長】私も直接当事者の方と話をしたということはないのですが、奈良県の「私たちはここにいる」という(ガイドライン)ですが、これは本当に当事者の声が書いてあり、学校現場で困ったこととか、職場で困っている、社会生活で困っていること、職場では何をしてもらいたいかということも書いてあります。当事者の声として、職場では当然上司、管理職や同僚をきちんと研修してほしい、相談窓口が欲しいとか、トイレも多機能のトイレを作ってほしい、更衣室もきちんとしてほしい、など、それぞれご要望がきちんと出ています。そういうことを我々きちんと把握してどんな対応をしないといけないか、学校のことも書いてあります。制服のこと、男女混合の授業にしてほしい、体育も一緒にしてほしいなど、書いてあります。そういう具体的な生の声をきちんと把握することも、今は大事なのかな、と感じています。それから職場の環境を整備していくことも、一つ一つできることからやっていかないといけないのかな、と思っています。

【安田】全国でそういったガイドライン作っているところがたくさんありますし、当事者の方に来てもらってご意見をいただきたいということであれば、いろんな団体もありますので、そういった助言も受けながら作成に向かっていただきたい。

市役所での窓口対応についてですが、ガイドラインのあるところでは、窓口や公共施設での配慮についてもきめ細かく助言がされているんですが、市役所で専門の相談窓口がなくても、どこの窓口でも適切に対応できるようになるというのが、望まれる形ではないかなと思います。ただ、そういうふうにできるようになるまでは、対応するときには人権推進員に加えて、保健師も医療的な知識も持っておられるので、対応や助言もできるのではないかと思いますので、どういうふうに対応すればいいのか、こういった対応でいいのか、というようなことについて、庁内ですぐに、当たり前に相談できる体制が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【伊達総務部長】役所の中では、人権政策室が窓口になっておりますけど、鳥取県も東中西、西部で言えば西部総合事務所やよりん彩も倉吉にあって、ただ、カミングアウトする人が増えているといえどもまだまだ少なく、相談件数も少ないが、県の方には若干相談があるという現実もあります。ですから、役所であれば、人権政策室に相談してくださいということを周知して、相談に来ていただく、そして議員が言われたような、職員一人一人がもっと知るということ、理解するということ、自分事として学んでいくということも非常に大事だと思っています。そういう取り組みもしてみたいと思います。

【安田】もうひとつかかわった方のことで印象的だったのが、さまざまな理由から市外に転出をすることになったのですが、転出届の性別欄がありまして、自分の自認する性ではない方に〇をつけるということだけでも非常につらそうにしていました。この苦しみは、私にもわからないのですが、こういうことでもつらいんだなーということで、私たちも様々なアンケート調査などで、性別を選んでもらったりもありますが、公的書類の中で不必要な性別欄がないかということは精査をして、必要でないものについては、性別がなくても個人を特定することはいくらでも可能だと思いますので、そういった検討、精査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【伊達総務部長】男女の性別記入するだけでも、ということはあると思います。人権の方の出前講座のアンケートでは「男・女(自認するもの)」というふうに、男女だけでなくて自認する性を書けるように、そういうことも改良はしているところです。市民課の方の性別に関係なくとれるもので、印鑑証明の申請書でしたか、きちんと書く欄をなくしております。そういうふうに一つずつ、書くだけでも本当につらいということは言われていますので、見直せるものは見直していく方向で向かいたいと思います。

【安田】窓口で当事者の方になかなか出会われていなかったり、身近でも出会っていないということですが、市外へ転出された方も、都会の方で対策や市の対応はいいけれどもそれでも世間的な対応はまだまだだとおっしゃり、当事者の声がどれだけ届くか、響くかですねと言っておられます。市長はパートナーシップ制度については課題なども見ながらということは当然だとは思いますが、慎重にとおっしゃいましたが、そういう方も潜在的に、私たちにとって潜在的にであって、おられるという認識の下で判断をしてもらいたいと思います。

田口議員の質問への答弁で、公営住宅の入居条件で、事実婚を認めるという但し書きがされているということなんですが、事実婚についてはどのように確認をされているのかお答えください。

【下場建設部長】事実婚も実績がまだございませんでして、取り扱いについては未定なところもございますので、そのあたり整理したいと思います。

3)

【安田】事実婚についても性自認や同性愛とは違いますが、様々な事情からそういう選択をしておられる方、せざるを得ない方、おられます。なぜそのことを聞いたかというと、来年度からパートナーシップ制度導入予定の千葉市なんですが、千葉市もガイドラインもきめ細かいものを作っておられて、市民意識調査も定期的にしておられて、来年度予定しているパートナーシップ制度は、同性愛の方だけではなく、異性愛の方の事実婚の証明もできるものにするということで、そういう証明は必要ないという方々もおられるとは思いますが、そういった制度的なことを整えるということこそが、社会的な理解を進めたり、直につながることではないかなと思いますので、前向きにご検討いただきたいと思います。

【下場建設部長】公営住宅は、住宅を求めている方にとってみれば、最後の砦というところがございますので、住宅に困窮される方につきましては、特別な扱いの対象も広げて対応していきたいと思います。

【安田】パートナーシップ制度については、法的に婚姻という形でできていない部分を担保してほしい、あるいは税の制度などにも適用できる制度として対応をしてもらいたい、そのように制度をつくる、ということもありますので、パートナーシップ制度についてももう一度お答えをお願いします。

【中村市長】いろいろご提言をいただきましたけれども、LGBT、性的マイノリティの方々に対する、環境づくりというか、そういったものには、認識をちゃんともって、しっかりと取り組みを検討していきたいと思います。 

【安田】検討を前向きにお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

鳥取県 性的マイノリティ リーフレット.pdf
PDFファイル 1.7 MB
性的マイノリティ千葉市ガイドライン.pdf
PDFファイル 1.8 MB

2018年

10月

30日

義務教育無償化の実現に向けて

学校給食を無償化する自治体が増えている、先進県の群馬県では自治体の6割が完全無償化か一部無料や補助をしているとのこと。市民の運動と共産党議員の論戦が首長の選挙公約にする後押しになっているそうです。嬬恋村の熊川栄村長は「義務教育無償の憲法の理想に一歩でも近づけるのが自治体の長の務めだと考えている」としんぶん赤旗(2018年8月2日付)のインタビューに答えておられます。この記事に触発され、給食費の一部無償化を始めている境港市が、鳥取県で一番に完全無償化に踏み出すことが「子育て王国とっとり」に求められているのではないか、と提案しました。あわせて、できることから就学援助の対象になっているものの完全無償化、就学援助の拡充もとりあげました。

【安田】文部科学省は今年7月27日、公立小中学校の給食無償化に関する初めての全国調査結果を公表しました。2017年度は全国の4.7%に当たる82市町村が給食費を無償化し、人口規模が小さい自治体ほど積極的に導入している傾向が見られたとのことです。小学校のみ、あるいは中学校のみ無償にしている自治体もあるようです。また、本市が第3子以降は無料としているように、部分的に支援しているのは424市区町村(24.4%)。もちろん、第2子以降を無料にしている自治体もあります。

 無償化の目的としては、子育て支援や少子化対策、食育の推進、人材育成などが挙げられています。アレルギーにより弁当持参者には別途助成制度をつくるなど配慮をしている自治体もあります。

 無償化を実施している自治体の中には、首長自ら、憲法262項に書かれている「義務教育はこれを無償とする」という理念に一歩でも近づけるのが行政だ、と明言しているところもあります。

 そこで伺います。①学校給食費の完全無償化を実施、あるいは一部無償化を拡充する考えはないでしょうか。

1951年の参議院文部委員会では、政府委員が、義務教育に必要な経費は無償にする理想を持っており、今は授業料だけだが、教科書、学用品、学校給食費などの無償も考えているが、現在の財政上できないので、今回は一部だけの実施を試みたいと答弁したそうです。それから60年以上たち、当時と比べ物にならないほどの国力を持った今、無償化を進めるのは国の責務だと思いますが、現実は、その後教科書は無償になりましたが、その他は経済的な支援の対象として就学援助によって対応するにとどまっています。就学援助は申請主義ですし、様々な理由で対象になっても申請されない家庭もあり、経済的な問題があっても給食費など学校の費用は払っているという家庭には就学援助の手が届かないという場合もあります。政府の経済財政諮問会議では、給食の無料化の検討が提案され、全国で給食費無償化に必要な財源は年間5120億円という内閣府の試算も示されたそうです。②国の責任で無償化を実現するよう強く働きかけることも必要かと思いますが、いかがでしょうか。

義務教育無償という理念からすれば、給食費以外の、学用品通学用品費用、入学準備費用、修学旅行費用、校外活動費用などの学校教育に必要な費用が就学援助の対象になっていますので、これらの費用も理想を言えば、すべての子どもに場合によっては現物で支給されるべきものと考えます。すべてはもちろん無理だと思いますが、③学用品などは教科教育に直結するものですので、これだけでも全員無償にできないかと思いますが、いかがでしょうか。

 また、全員に無償にはできないにしても、子育て世帯への経済支援として就学援助を充実させることは常に独自の努力が必要です。これまでも入学準備金の支給時期の改善を提案し、それは今年度入学児童生徒から前年度中の支給が実現し、大変喜ばれているところだとおもいます。就学援助の広報の工夫も求めましたが、これについては改善がうかがえず、今後も検討をお願いしたいと思います。さらに、生活保護利用の要保護児童には教育扶助費の中にクラブ活動費、生徒会費、PTA会費相当分が含まれていますが、就学援助のみ利用する準要保護児童には各自治体の判断にゆだねられており、本市では就学援助の対象にされていないのが実態です。④国が学校教育に必要と認めた品目ですので、準要保護児童にも適用すべきと思いますが、いかがでしょうか

 

【教育長】①学校給食法では、学校給食の実施に必要な施設や設備の経費、給食運用に関する人件費などの経費は、学校の設置者の負担とし、それ以外の、給食食材に要する経費のみを保護者が負担するものと定められている。完全無償化を実施した場合、新たな財政負担が生じること、給食費は受益者負担が原則であること、また、給食費は、県内4市の中でも最低基準であることなどから、現時点では、学校給食費の完全無償化は考えていない。一部無償化の制度については、就学援助認定世帯の全額免除のほか、子育て世代への支援対策の一つとして、同一の世帯に学校給食を受ける児童生徒が3人以上いる場合に、3人目以降の給食費を完全免除する制度を導入し、県内4市の中でも、最も充実している状況なので、当面は現行制度を継続していきたい。

②国は、今回初めて学校給食費の無償化などの実施状況を全国の自治体に対し調査した。その理由として、平成28年(2016年)3月の内閣府経済財政諮問会議で、子ども子育て世帯の支援対策に、給食費の無償化が打ち出され、その後一部の自治体や議会から国に対して、速やかな調査の実施と給食費完全無償化の早期実現への要望書が提出された背景がある。国への要望については、県内および近隣市町村の動向を注視するとともに、市長会などの関係団体とも十分に相談・協議をして対応していきたい。

③学用品には、ノートや筆記用具のほか、副読本、副教材、鍵盤ハーモニカ、体操服などの教材・教具が含まれます。これらは個人の所有物にかかる経費であり、学校でも家庭でも使用できるため、学校教育にかかる公費負担の適正化という観点から、保護者に負担をお願いしている。全員無償化については、財政負担も大きくなることから、実施する考えはない。

④就学援助費については、県内3市でもクラブ活動費、生徒会費、PTA会費を支給対象としていないのが現状であり、準要保護児童生徒に支給することは考えていない。就学援助制度の広報については、速やかに対応していきたい。

 

(追及質問)

【安田】①まず、子どもの成長にかかる費用については、私の考えですが、家庭の経済的な状況にかかわらず、社会が責任を持ってまかなうというのが、あるべき姿だと思っている。昨日の質問テーマにあった、保育・幼児教育の無償化について国が制度設計をしたこと、大変歓迎するものだ。また、子どもの医療費については鳥取県内では一部負担があり完全無償化を求めるものだが、高校卒業年齢まで医療費の助成が広がっている。本市の給食費第3子以降無料についても、米子市などからうらやましがられる制度となっていると思う。いずれも、少子化対策や貧困対策の意味もあり、根本的には、子供の成長には社会が責任を持つという考え方で、受益者負担とか保護者負担という考え方ではなく、累進課税での税収財源をもとに、それらの事業を賄うというのが本来の在り方ではないか思う。このことについて、市長、教育長はどう考えるか。

【教育長】学校給食については、学校給食法第11条の中で、設置者としての責任、保護者としての責任、これは保護者と設置者が密接な連携をする中で初めて学校給食は円滑に実施をでき、また健全な発展を図れるといった考えが込められた条項であると理解している。本市が実施している形態は立法趣旨に適った方法で実施していると考えている。

【安田】子どもの成長については社会で責任をもって担うという考えについて市長の考えは。

【市長】地域の宝である子どもたちの健やかな成長を願うということは、大変重要なことである。これは、地域、学校ばかりじゃなくて、行政も保護者もみんながその思いをもって健やかな成長をさせていかなくてはならない。これが大きな考え方なので、行政が完全無償化をやっていくべきではないかというお考えだが、やはり家庭も、保護者もそれには責任を持って、負担をしていくべきものであろうと思う。3者が一緒になってやるべきだろうと、基本的にはこういう考え方をしている。現在、境港市は、子育てするなら境港ということで、財政の問題もありながらも、少子化対策、子育て環境の整備に重点的に予算を投入しているが、これも限りのあることであり、行政も地域も学校も家庭も、みんなが責務を果たしていきながら、子どもの健やかな成長を促していくことが必要だと思っている。

【安田】教育長が言われた、学校給食法に、保護者への負担の分配ということも書かれていて、保護者、家庭も連携してということは理解するところだが、学校給食法に書かれていることが、給食費無償化を妨げるものではないということも、国会の政府答弁の中で出ているということも聞いている。だから、給食の完全無償化が全国に少しずつではあるが広がっていると認識している。完全無償化を実施している自治体が一つもない府県は18と少数派になっています。鳥取県もその一つです。子育て王国鳥取の中で、子育てするなら境港という本市が一番に手を挙げたらと思う。もちろん、一度には難しくても、給食費の半額助成とか、第2子以降の無償化だとか、より若年世代の応援として小学校だけ無償にとか、教育費の支出が多くなる中学校で無償にとか、一部無償化の拡充というやり方もあります。

少しでも憲法の理念に近づくためにはどうすればいいか、という観点で考えてもらいたいと思うがどうか。

【教育長】子育て世代をいかに支援するかについては、社会の変化とともにいろいろ工夫をし、改善を図っていかなくてはいけないテーマだと認識している。提案事項も含めて、今後どのような支援の方法があるのか、それは常に研究をしていきたいと考えている。

 

【安田】③学用品、教材費を無償にできないか、というのは、授業に必要な教材費用がなぜ授業料に含まれないのか疑問であるし、家庭の負担が増えすぎないようにと気を付けながら教材を準備し、クラスの児童生徒の頭数で割って集金するということで、学校の現場の教員先生方が集金もされているということで、そういう手間も考えると、授業で使うワークやその場で使う図工の材料だとか、教材は無料にと思うわけですが、いかがでしょうか。

【教育長】学用品を広くとらえて答えたが、補助教材に限定しての提案だと思う。教科指導との関わりはまさにそのとおりだ。ただ、この補助教材というのは、学校の教育そのものを特色を表す内容になっている。したがってすべての小中学校に共通の教材を指定しているわけではない。そういうことも考えて、これを一律に補助の対象にとは考えていない。ただ、先ほどの、保護者負担というものをどういうふうに軽減するかという中で、こういった内容についても今後、どうあるべきかということは研究をしていかなくてはいけないと考えている。今の時点では、今すぐにこれを対象にするというようなことは、財政負担のこともあるので、すぐに実施ということは考えていない。一方で保護者・PTAの会と毎年会合をもっており、学校教育に対する保護者からの要望を毎年受けている。その中にはこういったテーマが含まれていない。多くの議論の中で、こういった考え方が高まってくる、そういった中で市としても考えていかないといけないかなと思う。

【安田】④クラブ活動費、生徒会費、PTA会費については3市も対象にしていなということですが、逆に言えば、国の調査でも、年々対象にする自治体が増えているということですので、4市がそろって対象にするというふうに協議をしていただけたらと思うが。

【教育長】4市で援助費のことについて協議をする場があるので、こういった話題を出しながら、どうあるべきか他の市とも話し合ってまいりたいと思っている。

【安田】就学援助の広報の内容の充実を求めたのは2年前だったが、今も変わっていない。このことについてご説明を。

【教育長】この制度についての広報は、まずは、教育委員会のHP、就学時の健診時に保護者に配布する資料、入学通知書とともに保護者に資料として送付している。HPについては、開きにくいという部分も含めて、見ても、「相談は受け付けます」ということが中心で、事業の概要が分かりにくいということもあった。この部分については最近改め、保護者が開いてもらえば内容が確認できるものに改善済み。また、保護者に配布する資料についても、保護者が見てすぐ内容が分かるような、分かりやすい資料に改良して案内したい。

 

【安田】子育て支援、少子化対策ということではなく、子どもの成長を社会で支えよう、また、義務教育については無償の憲法の理念を追求してということで質問してきた。いろいろと検討するという答弁もいただいたので、ぜひ、しっかりとお願いします。

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2018年

10月

28日

10月が終わってしまう前に

9月議会の一般質問の報告をしておきます

急に寒くなり、冬支度も始まっていますが、野菜の価格の高騰など、災害級の今年の夏の影響が今も続いています。

 9月議会では、猛暑対策、熱中症対策として、提案を交えて質問しました。今回も全文を安田の文責でご紹介します。異常な猛暑に、個人宅のエアコン設置にも公的な助成をする自治体が生まれています。みなさんの生活実態や要望をさらにつかんで要望を続けたいと思います。

【安田】今年は、豪雨、台風、地震と、自然災害が続きました。犠牲になられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。そして今年は、気象庁が、「一つの災害と認識している」と表現した記録的猛暑も続きました。そんな夏の終わりに際して、本市における猛暑対策、熱中症予防策についてお聞きします。

 先日、気象庁が6月から8月の平均気温が西日本では2013年に次いで史上2位の暑さだったと発表しました。消防庁の集計では、全国で熱中症による救急搬送者が430日から826日までの累計で過去最多の89,305人にのぼり、155人が亡くなっておられます。この状況を踏まえ、まず猛暑対策として、①以前定岡敏行前議員が提案した、子供たちが水遊びできるような公園の整備、学校での熱中症指数WBGT指数を計る熱中症指標計の活用、遮光フィルムや冷水器、ミストシャワーの設置などの状況はどうなっていますでしょうか。お答えください。

鳥取県が発令する熱中症特別警報では熱中症対策として第一に「エアコンを上手に使い、室温を適度に下げましょう」と謳っています。経済的に冷房設備の設置が困難な人はどうすればいいでしょうか。もちろん、冷房の効いた施設や知人宅などへ移動できればいいですが、できない人はどうすればいいでしょうか。熱帯夜と言われる最低気温25℃以上の日も多くなっており、体力の回復もままなりません。防犯上窓も閉めての熱帯夜はエアコンで室温調節をと、これも言われています。そこで、②今災害級といわれている猛暑への対策としては、やはり「家庭に冷房器具の設置補助や電気代助成を」という提案について、今一度検討する時ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

この記録的猛暑に厚生労働省は、生活保護制度の一部改正を通知により行いました。これまでは、生活保護世帯が冷房器具を設置する際は、最低生活費のやりくりによって賄うか、貸付資金の活用によって賄うとされていましたが、今年41日以降に生活保護を利用開始し冷房器具がない世帯には冷房器具本体上限5万円と設置費の必要額を保護費で支給することになりました。例年にない猛暑に対して、国として支援策を立てたことは画期的なことだと思います。しかしこの制度、3月以前からの生活保護世帯は対象になっていません。③早急に、従来からの生活保護利用者に冷房器具設置のためにかかる費用の支給を適用するべきと考えますが、市長の見解を伺います。

今回の制度改正で対象から外された従来からの生活保護利用者が最低生活費の中でやりくりすることは、相次いで保護費が削減されている中でもあり、生活を圧迫することになりかねません。もう一つの貸付資金の活用は、社会福祉協議会の生活福祉資金のことですが、2011年7月に厚労省は、冷房器具を設置するために生活福祉資金の貸し付けを利用した場合は、貸付金を収入認定しない、償還金も経費とみなして収入から控除するとの通知を出し、最低生活費からやり繰りしなくても、貸付金の返済ができ、冷房器具も購入しやすいようになっていました。しかし、そののち償還金を経費とみなし収入から控除する扱いは廃止されてしまったそうです。最低生活費を圧迫するという課題はありますが、④今ある制度で冷房器具が設置できるのであれば、活用を促すことは重要だと思います。この冷房器具を設置するための生活福祉資金の周知や活用の状況はどのようになっていますでしょうか。お答えください。

【市長】①簡易な噴水施設等を公園に設置することを検討してきたが、維持管理やコストの面の問題もあり、実現には至っていない。今後は、ミストシャワーなど、より簡易な仕掛けで涼を感じてもらえるような施設を試験的に設置することも検討していきたい。

②次に、昨年度、熱中症により救急搬送された状況を見てみると、本市では26名が搬送され、そのうちの15名が高齢者となっている。今年度8月までの状況については、40人が搬送され、そのうちの12名が高齢者であり、発生場所は6割に当たる7名が自宅で、そのうち5名については、エアコンが設置されていたけれども使用されていないという状況だった。地域包括支援センター職員が訪問した先では、エアコンがほぼ設置されていたが、中には、エアコンを使用していない状況もあり、職員が必要性を説明し、使用に至ったケースもあったので、適切な使用についての啓発も重要だと考えている。また、高齢者の方へは、ふれあいの家や講演会などの機会をとらえて、水分補給の方法など、脱水状態にならないための予防対策についての啓発を行っているほか、民生委員にも、見守り活動とともに熱中症の注意喚起を継続してもらっている。提案の、冷房器具の設置補助や電気代助成については、今後、調査研究をしたいと考えているが、熱中症は、室温などの環境条件だけでなく、急に暑くなった日や、暑い環境で活動することに慣れていない人が、体温調節がうまくいかず発症することも多いことから、対象者に応じた熱中症予防法の啓発についても引き続き努めていく。

 ③生活保護受給世帯の冷房器具については、8月末現在で、施設入所者を除く世帯のうち、約95%の世帯が所有している。今回の国からの通知を受け、対象となる世帯については、すでに対応済みだが、対象とならない生活保護受給世帯については、従来からの生活保護実施要領に基づき、社会福祉協議会が相談窓口となる生活福祉資金を案内して対応することとしており、現在のところ、国からの通知の対象世帯以外の世帯に対して冷房器具設置にかかる費用を支給することは考えていない。④冷房器具を設置するための生活福祉資金周知については、相談があった生活保護受給者には適切に案内、説明をしているが、冷房器具購入のための生活福祉資金利用実績はなかった。

【教育長】①暑さ指数を計るWBGT測定器については、各小中学校すべてに設置をしている。運動は原則禁止の目安となる、暑さ指数31℃以上を測定器が示した際に、学校内での運動は原則中止している。冷水器は第2中学校、ミストシャワーは中学校3校に設置済みだが、遮光フィルムについては設置していない。

(追及質問)

①【安田】この猛暑の中でも、水木しげるロードには多くの観光客と市民が訪れていました。また、中学校では夏休みの間も熱中症対策に配慮しながら部活動などが行われていました。これらの場所で工夫されていたのが、水の工夫です。水木しげるロードの2か所の手押しポンプには人だかりができ、一部店舗に設置されたミストシャワーにお客さんもひと時の涼を味わっておられたように感じます。やはり人の集まるところには夏には水辺が欲しいものということで、以前から提案があったが、確かに維持管理の難しさはあるということだが、人が集まるところということで言えば、今、仮称境港市民交流センターの建設に向かうところだが、ここは人が集まるところということですので、センターの敷地内、あるいは隣の中央公園にも噴水やミストシャワーなどの設備を整備してはどうか。

【建設部長】人が集まるところを中心に、試験的につけることを検討していきたい。

【安田】ミストシャワーについては、先ほど言ったように、水木しげるロードに何か所か、ドライミストというものだそうだが、まだ数か少ない。うちにもつけたいけれど高額でつけられない、ということがあれば、ミストシャワーを設置する店舗に補助をするということも検討してはどうか。

【産業部長】水木しげるロードのハードはほぼ終わったということであり、今現在でも、各店舗、あるいはロード商店街が設置しているわけで、個々の店舗についてはロード振興会という大きな組織もあるので、一つの目安を持たれるのがいいと思うが、各店舗で従来通り考えてもらいたい。

【安田】次に学校ですが、二中に話を聞きに行きましたが、ミストシャワーや冷水機の設置をされ、生徒も上手に使っていると聞きました。冷水器の設置については生徒の要望を受けて、PTAやOB会からの補助もあったということですが、冷水器、ミストシャワーは小学校にも財政措置をして全校に広げてはどうか。

【教育長】冷水器の利用についても、ミストシャワーについても、学校の工夫の中で設置をしてもらっている。今年度そういったものの利用をしているので、実態や効果を学校から聞いて、必要であれば小学校を含めて設置をしていくことを検討していきたいと思っている。

【安田】ミストシャワーは安価なもので5千円から設置可能なものもありますので、学校だけでなく、子育て支援施設や保育園にも応用できるのではないか。

【福祉保健部長】子育て支援施設についても実態を確認して、必要であれば検討していきたい。

 

②【安田】次に冷房器具設置の補助や生活保護からの支給についてです。私たち会派として、市長に申し入れもしたところですが、改めてお尋ねします。福島県相馬市は、市内の生活保護世帯と65歳以上の高齢者がいる住民税非課税世帯を対象に、冷房器具設置費を独自に補助することを始めています。

 同様の独自助成は、東京の荒川区でも高齢者世帯、障がい者や要介護4以上の人がいる世帯、未就学児がいる世帯でエアコンのない世帯に、5万円を上限に助成すると発表するなど、独自に冷房器具設置を補助する自治体が生まれています。

繰り返しますが、災害に匹敵する異常気温です。今年の平均気温は史上2位ということで、平成13年(2001年)も平均気温としては高かった、WBGTのデータを見ても、(平成24年)2012年の方が今年よりも高かったという指標もあります。今年だけに限ったことではないということを考えると、国の制度設計も必要だと感じるが、市独自でできること、制度設計し実践しながら国にも設置費の助成制度を立ち上げるべきと要望していくべきではないか。

【福祉保健部長】申し入れを受け、荒川区と相馬市が独自でそういった対応をしていることは検討させてもらった。境港市の実態を調査研究し、どういう対応を進めていくのかということを含めて考えていきたい。

【安田】荒川区のものについては、所得制限なしだったり、本当に手厚い措置だと思う。エアコンがなくても対応できることももちろんあると思うが、体温調節が難しい高齢者、障がい者、乳幼児などについては、やはりエアコンが必要なのかなと思う。もちろん購入を自発的にされる方がほとんどだと思うが、それができないという方に対して、あるいはそういった方々への支援として優れた制度だと思うので、ぜひ前向きにご検討をいただきたいと思う。

 

③次に生活保護の制度改正についてです。生活福祉資金を利用してのエアコン設置は、今年度はされていないということだが、情報提供をしていても、生活福祉資金を利用されない理由は把握しているか。

【福祉保健部長】相談のあった4件について、この制度について説明をしたが、借りるということで、返さないといけないというようなことで、やめておこうかということだったと聞いている。

【安田】だいたい、生活保護世帯に対して、電化製品だとか炊事用具などについても、「一時扶助」は原則的には生活保護の新規開始時などにしか認められていません。エアコンだけに限らず、家電も10年持てばいいほうだという状況の中で、その都度最低生活費のやりくりでやるだとか、生活福祉資金を借りて返済に回さないといけないお金が生じてくるということは、やはりご苦労ではないかと思う。生活保護利用者に支給が認められている住宅維持費というのが、網戸の設置だけは認められていると聞きました。日本の今の夏は網戸で対応できるものではないということも、皆さん感じておられると思う。現実に適した制度に改定する必要があります。

さまざま、生活保護の制度改善、もちろん市でできることがあればと思うが、国の今回の一部改正については不十分ではないかと思っている。さらに従来の生活保護世帯も利用できるように国で制度改善をするように、強く要望をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

【福祉保健部長】現時点では考えていないが、これについては、生活保護の方だけではなく、全体で考えていくべきことだと考えている。

 

④【安田】生活費をやりくりしながらの中で、やはりエアコンを買えないという判断をされて、エアコンない中でも水風呂に入るとか、ほとんど裸で過ごしているとか、体調が悪くなる寸前だという声も聞く。市独自で利用できる制度があればいいと思うが、今の生活福祉資金ももう少し利用しやすいものになればいいと思う。2011年に一度あったように、償還金を経費とみなして収入から控除するというやり方は何でなくなったのかと思うが、どのように理解しているか。

【福祉保健部長】わずか数年間だったと思うが、そういった対応がなされていたことは承知している。国のそういった制度により、地方で混乱をするようなことがあってはいけないということで、国も予算があってのことだと思うが、そういったことがないようにしてほしいと考えている。

【安田】生活福祉資金で冷房器具を設置した場合、無利子で分割の回数も比較的多めに分割返済ができると聞いているが、間違いないか。

【福祉保健部長】利用できるのが福祉費で、据え置きを6か月置いて20年間で返済するというもの。連帯保証人があれば無利子で、なければ有利子でということになる。もう一つ緊急小口資金というのもあり、これは10年以内で無利子で保証人もなくてもいいということなので、どちらかを利用してもらうことになると思う。

【安田】利用されない理由のところで、返済が生じることを心配してということがあったが、10年や20年で返済すればいいということで、「月にすればこれだけずつ返せばいいんだから借りていこうよ」という丁寧な説明や助言が必要だと思うが、実際は行われているかということも含め、お答えください。

【福祉保健部長】電話での問い合わせ等だが、小さな額まで説明しているかは承知していないが、こういった制度については細かく何年返済が可能だというところまで説明している。

【安田】ただ、返済が少額で済むとはいえ、やはり相次いで保護費が削減されている中、冠婚葬祭も食費も電気代も切り詰めて生活をするという実態がある中で、当事者が利用をためらうように返済の心配をするということは理解できるものだ。ただ、資金を利用すればエアコンを設置できるということで、粘り強く指導や助言をしてもらいながら、市独自の助成制度や国に対する要望などもご検討をいただきたい。

【福祉保健部長】市独自の助成については、実態をまずつかむところから始めて、するのかしないのか、どういった形でできるのか、きちんと考えていきたい。

 

 

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2018年

10月

13日

キャンペーンと現実をどうみるか

昨日から今日にかけて、キャンペーンがはられていることに対して、その内容についてリテラシー(適切に理解・解釈・分析し、改めて記述・表現すること)をもって向き合わないといけないなーと思うことが続けてありました。

 

最初は、昨日10月12日、鳥取県配偶者等に対する暴力防止関係機関連絡会で講演された、琉球大学教育学部研究科の上間陽子教授のお話。自身の出身地である沖縄の少女たちによりそい、その実態をとことん調査している上間教授、学校が子どもを追い出すようなことをしてはならないと繰り返し語っておられました。そして、全国学力テストのあと沖縄県ではられた「早寝早起き朝ごはん」キャンペーンについて、「学力と生活習慣には相関はあるが因果関係があるわけではない、生活習慣が身につけられない家庭環境の子どもに、そんなキャンペーン強調されたら、その子たちは萎縮してしまうのではないかととても心配している」と語られました。ただでさえ自尊感情の低い子たち、「早寝早起きもできない、朝ごはんも食べられない私はダメな子」「朝ごはんも作れないウチの親はダメな親」「食べてなくても食べたと言おう」「食べてないから学校行くのヤダ」など、自尊心の低さを強化してしまうのではないか。現場の先生方は子どもたち一人一人を見て、そんなふうに思わせないように、最大限の配慮をしておられることと思いますが、ドロップアウトする子どもをたくさん見てきた方の厳しい警鐘だと思います。

 次、昨日、ある方から、家事の分担とか安田さんちはどう?と尋ねられて、「うちはほとんどの家事を私がやっている」と答えたら、「男女共同参画の時代だし、うちは分担してるよ」と切り返されて「うらやましいけど、家庭の事情はいろいろなんです。夫はいずれ単身赴任になるから、今のうちにと私に甘えているんです」と苦しまぎれながら我が家のあり様をお話しすることに。男女共同参画社会、男女平等は社会としては実現していくことではあるけれど、各家庭ではDVの関係でなければ様々な在り方があって当然だと思います。極端な話、DVの関係だとしても、本人たちがそれでいいと言うのであれば強制的に別れさせることもできません。子どもを産む、産まないも個人やその家族の考え方が尊重されるべきことです。そこに介入したり、強制力を感じさせるキャンペーンになってはいけませんね。

 そして、今日、島根大学の毎熊浩一準教授のFBの投稿を見て感じたこと。独断で要約しますので、毎熊先生の本意と違っていたらごめんなさい。「どのようにしたらふるさと島根が住みたい、働きたい、学びたいまちになるのかを探求している中学生から『お子さんには島根に残ってほしいと思うか?』と尋ねられ、『ノー』と即答。娘の選択ならどこに行こうが構いません』親としては当たり前」「社会問題、人口減対策を考えるとき、等閑視(ないがしろに:安田注)されてんじゃないか、この点を忘れて策を弄しても、という気がします。例えば教育って、本来『地方創生』の手段じゃないはず」

 これも、「住みよいまちに」ということと、このまちに住むかどうかの選択は別問題。憲法で保障された居住移転の自由、職業選択の自由は誰も侵害することはできません。

 

 なんとなく共通する問題があるような気がして書き留めておきました。

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2018年

10月

05日

玉城デニー知事誕生

 9月30日、沖縄県知事選挙の投開票の結果、翁長雄志前知事の遺志を継ぎ、辺野古新基地建設反対を掲げた「オール沖縄」の玉城デニー候補が、政権丸抱え候補に8万票の大差をつけて、沖縄県知事選史上最高票(39万票超)で圧勝しました。デニー知事の誕生は、権力をかさに着た強引なやり方は通用しないことを示しました。

写真は10月5日付しんぶん赤旗より、4日の就任日に沖縄県庁で職員から花束を渡され、職員や県民から暖かい拍手や歓声で迎えられる玉城デニー知事。

 

 さて、9月25日閉会した境港市9月議会には、「沖縄と連帯するとっとりの会」からの「沖縄県による『辺野古沿岸埋立承認撤回の意思』を尊重するよう日本政府に求める意見書提出についての請願」に、安田、長尾、松本煕各議員が紹介議員となり、提出しました。請願者の意見陳述を求めましたが、審議付託された総務民教委員会で、「紹介議員の説明で足りなければ改めて出席・陳述を求める」という結果となり、陳述してもらうことができませんでした。

 *境港市議会の議会改革も道半ば。今回のことを機に、議会運営委員会の田口委員長の提案もあり、請願・陳情者の意見陳述の手続きを今後決めていくことになりました。希望があれば陳述をしてもらえるように議論したいと思います。

 

 委員会での審査、本会議での採択の結果、不採択に賛成する議員が多数で不採択となりました。「司法の場に委ねられている、司法の判断を見守るべき」「知事選の最中であり、今他の自治体や議会から意見を言う時ではない」など、我々地方議会の役割を消極的に見る意見が多く、残念でした。議会最終日、安田が採択を求めて討論、3名の紹介議員と、景山憲議員が採択の意思を示しました。景山議員は委員会審査で、「司法で争うような事態になっており、残念だが、請願の趣旨はよく理解できるもの」と発言されました。

 

 知事選挙の結果を受け、この請願の紹介者になったことが、誇りにさえ思えました。私は議会最終日、請願の採択を求める討論をしましたので、討論の要旨を紹介します。

 

 

翁長雄志沖縄県知事は亡くなる直前、辺野古沿岸部の埋立承認を撤回する意思を表明し、その後、沖縄県が埋立承認を取り消しました。私はこのことを強く支持します。

 承認取消の最大の根拠は、「環境保全・災害防止に十分配慮する」要件が満たされていないことです。①埋め立て予定地に超軟弱地盤が発見され、地盤の液状化や護岸の倒壊等の危険性がある、②海底の地盤の改良工事をすれば、サンゴ類など海域生物の生育に影響を与える、③辺野古新基地周辺の建物がアメリカが定めている高さ制限に抵触することなどが明らかになっています。辺野古新基地が滑走路が短すぎ普天間飛行場返還のためという埋め立て理由が成り立っていないことも明らかになっています。防衛局は沖縄県との事前協議を一切行わず、工事前に行うとしていたサンゴなどの移植を行わないなど、定められた環境保全措置を取らないまま工事を強行しており、埋め立て承認の撤回は法的にも当然の措置だと言えます。

 司法の判断を待つべきとの意見もありましたが、安倍政権は2015年にも翁長知事が埋め立て承認取消しに踏み切った際、取り消し処分を「執行停止」として工事を強行し、自治体の権限を奪う強制代執行に向けた訴訟にも踏み切りました。政府が強硬な立場をとってくることは今後も考えられます。

 昨年12月に普天間基地所属ヘリの窓が校庭に落下した普天間第二小学校では、米軍機が学校上空一帯を飛行すると児童が避難しなければならない異常事態となっています。世界一危険といわれる普天間基地は無条件での閉鎖・撤去が求められます。全国知事会は今年7月、翁長知事の要望を受け検討してきた、日米地位協定の抜本改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択しました。南北、米朝の対話で、北東アジア情勢、国際情勢も刻々変化していきます。

 

知事選挙の結果を待たずとも、沖縄県は、環境の保全、県民の安全な生活のため、県民の付託に答えて、人知を結集して調査を続けてこられた結果、今回の措置を取られています。全国の自治体が見習うべきことです。地方自治体がここまで国に追い詰められており、日本の民主主義について国民全体が考え、政府に、沖縄県の埋立承認取消を受け入れるよう求める時ではないでしょうか。以上のことから、この請願第1号を採択し、国へ意見書送付することに賛同されますよう、議員の皆さんにお願いいたしまして、討論を終わります。ありがとうございました。

 

 

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2018年

8月

04日

6月議会報告④

8月になり、議会だより、議会報告も発行されましたが、遅ればせながら、6月議会での一般質問の報告です。生活困窮者への支援について様々な角度から質問し、二つの提案をしました。今まさに、猛暑の中、経済的な理由からエアコンの設置や利用ができない家庭が市内でも少なくありません。生活困窮は様々に地域を襲っています。

 6月議会での提案は、命の水が止まっては大変と、ほとんどの人が滞納せず納付している水道料金や下水道料金について、所得に応じた減免がないので、これを、水道料金の福祉減免(低所得者や障がい者が対象で基本料金を免除など)を実施しているつくば市などを参考に導入の検討を提案しました。答弁は検討する予定はないという冷たいものでした。水道事業は米子市の管轄ですので米子市へも要望する必要がありますし、下水道事業は境港市独自で対応できることなので全市域へ下水道が普及するまでに実現するよう引き続き要望していきたいと思います。

 もう一つの提案は生活保護を受けられる人が受けられていない現状を打開するための方策の一つとして、「生活保護のしおり」の改善を求めました。「生活保護なめんなジャンパー」事件を契機に、神奈川県小田原市の福祉行政は市民や元生活保護利用者や専門家が入って改善策を検討しています。まっさきに改善が必要とされたのが、この「生活保護のしおり」でした。境港市のものと対比するとよくわかりますが、相談がしやすい、申請がしやすい表現になっていることが大きな違いだと思います。福祉の窓口ですので、相談や申請がしやすい環境づくりのため、しおりの改善が急がれます。

小田原市生活保護のしおり.pdf
PDFファイル 1.4 MB

今回も質問の逐語を紹介します(文責:安田)

生活困窮者への支援について

【安田】①昨年12月政府が発表し、今年10月から強行しようとしている、生活保護基準の引き下げは、総額160億円、1世帯当たり最大5%、保護利用者の67%が引き下げとなる大規模なものであり、その根拠は、一般低所得世帯、すなわち年収の低いほうから10%の層、いわゆる第1・十分位の消費支出額が下がったので、それに合わせて生活扶助基準を下げるというものです。この削減計画について、先ごろ、国連人権高等弁務官事務所の人権専門家から日本政府に対して「最低限の社会保障を脅かすもの」「ますます多くの人々を貧困に陥れることになる」と警告し、負の影響を緩和するために必要な対策を講じるように要請がなされました。世界の人権保障の番人ともいえる国連の専門家から厳しい注文を受けた以上、日本政府は見直しの検討を始めるべきだと思いますが、政府は、「一方的な情報に基づく発表であり、大変遺憾、国連人権高等弁務官事務所に対して抗議を行った」といいます。生活保護制度は極めて市民生活に密着した制度であり、地方自治体が担う重要な制度です。この、生活保護基準引き下げについての国連からの警告と見直し要請、日本政府の対応について、市長のお考えをお聞かせください

②一般低所得世帯、第1・十分位の実質所得の上限値は1999年には162万円だったのが、2014年には134万円へと下がり続けており、一般低所得者世帯の生活水準が困窮状態に置かれているのが現状です。生活水準が悪化しているということです。そこで、本市の低所得世帯の実態をどう把握し、生活困窮に対してどのような政策に取り組んでいるか、お答えください。

③多くの事業が経済状況に応じた減免や税額の決定をしている中、例えば水道料金や下水道料金は経済状況等を理由にした減免措置もありませんので、こうした事業での減免措置も検討されてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

④経済的な支援をもっと受けやすくという観点で質問します。神奈川県小田原市では、「生活保護なめんなジャンパーの着用事件」の反省を力に、改善努力が進み、生活保護制度の運用も大きく変化しています。全国のモデルケースになる取り組みになっています。今日は、その一端で、生活保護のしおりの一部を議長の許可を得てお配りしました。本市のものと比べてもらえば一目瞭然です。HPも生活保護のページ、小田原市は「生活にお困りの方はご相談ください」から始まります。今、格差と貧困が広がる中、問題になっている生活保護制度の捕捉率の低さもこういった努力から改善されていくのではないでしょうか。生活保護のしおりをはじめ、生活保護の案内、各種市税の減免や助成制度の案内は詳しくかつ分かりやすく、相談しやすく工夫をする努力をしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。市長の考えをうかがいます。

【市長】①生活保護法は、憲法第25条の理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、健康で文化的な生活水準の維持を図るとともに、世帯の生活保護からの自立を助長することを目的としている。

 この度の基準の見直しは、社会保障審議会の生活保護基準部会が、国民の消費動向、特に低所得者の生活実態を勘案しながら検証された結果を踏まえ、国の責任の下に設定されたものであり、妥当性の高いものであると考えている。したがって、基準の見直しに関する国連からの警告と見直し要請については、国が国連に対して適正に対応されるべきものと考えている。

②低所得世帯の実態については、地域包括支援センター、収税課、消費生活相談室など庁内関係課はもとより、民生委員や医療機関、介護施設などの連携体制の中で、把握に努めている。

 生活困窮者に対する施策については、生活困窮者自立支援事業を平成27年度から実施しており、平成29年度からは境港市社会福祉協議会に委託し、相談支援員を配置して対応している。生活困窮者自立支援事業は、生活に困窮している方に対して、就労や生活習慣改善などの支援を行う事業であり、平成27年度から現在まで49件の支援を実施している。今後も生活保護制度と合わせて、生活困窮者自立支援事業の活用により、生活困窮者への支援を行っていく。

③下水道使用料については、応分の負担、公平性の観点から、生活困窮者の経済状況等を理由とした減免制度の検討は考えていない。納付が困難な方には、個別に相談を受けたり、財産調査等を行って、分納や支払いができる状況になるまで猶予するなどの対応を行っている。また、支払い能力の回復が見込めない案件は、税と同様、滞納処分の執行停止を行い、不能欠損で処理している。水道料金については、米子市水道局から、減免制度を検討する予定はないと聞いている。

④生活に困っている等の理由により、生活保護の相談に来られた際には、お困りの事情をケースワーカー等が聞き取り、申請にあたって必要となる情報を絞り込んだ「生活保護のしおり」を使って、丁寧に説明しながら相談を受けている。また、市税等の減免制度については、市報及びホームページでの周知に加え、窓口での手続きや納付相談の際に減免制度の案内を行っている。

 各種支援制度については、他市の周知方法も参考にしながら、見やすさ、分かりやすさに工夫を凝らすとともに、生活困窮者に接する機会の多い、民生委員やケアマネージャーなどに制度の周知を図ることで、経済的な支援を必要とされる方に、必要な情報が分かりやすく伝わるよう努めていきたいと考えている。

 

(追及質問)

【安田】今でさえ、生活保護受給者の方が、家電が壊れたらそれを買い替えることもできない、食費も切り詰めて、人付き合いも制限しながら生活しているという中での、生活保護基準の引き下げということについては、国連から見直しの要請があるのも当然のこと。低所得世帯の方々の水準をそのままにしていいのかという問題もあると思う。日本政府の対応が適切だと言われたことについては、非常に残念です。

続いて質問するのは、一般低所得世帯の方々について詳しく見ていきたい。

まず、65歳以上の高齢者について。介護保険料の階層が10段階あるが、その一番低い第一段階が、65歳以上人口1万800人程度の中で、1500人を占めている。所得にすれば一番低いところですので、単身であれば当然生活保護の基準以下になる。もちろん、遺族年金や障害年金や家族との同居の実態は、保険料の請求からは明らかにならないので、実態は把握に努めないといけない。それに比べて、生活保護受給世帯のうち、高齢者世帯は185世帯となっている。この数字に開きがあることが心配だが、高齢者の単身世帯や高齢者世帯、例えば国民年金だけの世帯ではほとんどが生活保護受給になっているのではないかと思うが、実態を把握しているのか、必要であれば生活保護につなげているのか、実態はどうか。

【福祉保健部長】生活保護については、申請を原則とした制度。捕捉率100%というのは法に抵触しない限りは無理なことだと考えている。日々の活動の中で、例えばケースワーカー、ケアマネ、民生委員などから、いろいろな情報を得て、生活保護など生活の相談につなげていっている。もし、そういうような方がおられたら是非ご紹介いただき丁寧な相談に乗っていきたい。

【安田】さまざまな関係機関と連携をとり、必要な制度につなげていくということは、徹底してもらいたい。低所得ということになれば、いつも、市税の滞納のことも聞くのですが、国民健康保険4500加入世帯のうち、滞納が半年以上になっている方が、資格証、短期保険証の交付対象になっている。合計240世帯と聞いている。払えるのに払えないと見なされて差し押さえがされた件数が、昨年度107件、滞納世帯の数は変動があると思うが、少なくとも100世帯以上が経済的な問題で滞納に至っているということだ。国保に加入しているので、生活保護は利用していない。こういった方を、生活保護の生活相談や自立支援事業の方につないでおられると思います。以前、消費生活相談室などにつないでいるということも聞いたが、どういった状況になっているか。

【市民生活部長】年間で、消費生活相談室や福祉課につなげるケースは数件。過払い金などについて弁護士の相談につなげたケースも2件ある。窓口で、納税や国保の更新の時に、実情をよく聞いて、専門のところに回した方がいいと判断したときは、紹介している。

【安田】滞納の納付相談は、生活状況を聞きながらすることだと思うが、実態を聞いて相談につなげるケースが数件というのが、そう多くはないということであれば、心がけて、この人にはどういう支援が必要なのかという観点で収納の担当にも仕事をしてもらいたい。

そもそも国保加入4,500世帯のうち、7割軽減は所得33万、給与収入だと98万円という試算があるが、その7割軽減を受けているのが、1,596世帯。かなりの数です。そもそも、生活保護の捕捉率が低い状態の中で、大変な思いをしている世帯が多いのではないかと推測する。

米子市水道局から滞納のデータを得た。実際停水にいたるのが38件あるが、半年以上未納が続くところが56件。様々な手立てをしたうえでの停水であり、生活実態を把握しながらやっている、大事な水にかかわる仕事なので、水道局も丁寧にやっていると思うが、やはり、滞納の件数としては少ない。もちろん、水を止められたら命にかかわることだから、努力して払っておられるということだ。減免を実施している自治体では、低所得だけでなく、障害の方も対象にしているが、「公共の福祉の増進に寄与することを目的として実施している」というふうになっている。また、下水道料金の滞納もやはりそれほど多くない。差し押さえされている割合はやはり少なく、経済的理由により滞納になっていると思う。すぐには難しいかもしれないが、福祉減免をやっている自治体を研究して検討してもらいたいが、どうか。

【建設部長】下水道は停止することができないので、いろいろな方がおられて粘り強く調査したり相談に乗ったりしながら、できるものから徴収したい。下水道は年間約100件の滞納があり、100件を徴収猶予している状態であり、理解いただきたい。

【安田】滞納が続いて猶予されているより、自分の権利として減免が受けられるということは、かなり違うと思うので、重ねて検討をお願いする。

生活保護の捕捉率についてですが、今、生活保護世帯は300世帯弱で推移している。資産を考慮すると3割程度の捕捉率という試算もあり、2010年の厚生労働省の推計も3割程度とういことだ。研究所によっていろんな数字があるが、3割と考えると、生活保護が必要なのに受けられていない世帯が700くらいはあると考えられる。「申請主義だからそれでいい」とは言ってほしくない。

 

生活保護の捕捉率を下げる要因になってはいけないなと思って、「しおり」を配った。小田原市のものを見てもらうと、全体的に「相談をしてください」というふうになっている。資産や能力の活用が申請の前提条件ではなく、「そこがなかなかできないなら、相談してください」「必要であれば申請してください」となっている。一方、境港市のものは、能力や資産を活用しないと申請できないかのような、そのように説明はされないが、持ち帰ってもう一度考えるときに、「さまざまな努力をしても生活を維持できないときに限って初めて適用されるものです」とあると、努力できるかできないかを自分で評価しないといけないということになってしまう。こういう、誤解を与えるような表現をなるべくしないということも、小田原市の検討の中ではされている。ホームページについても、県内他市に比べても、情報も少なく残念に思っている。この機会にしっかり検討して、見直すべきところは見直してほしい。

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2018年

8月

01日

島根原子力発電所3号機 新規制基準適合性審査申請を認めるかどうか意見表明

昨日7月31日、境港市議会では、市長出席のもと全員協議会を開催し、島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性審査申請について、議長を除く15人全員が賛否の態度を明確にして意見を述べました。

 新聞報道ではいろいろな書かれ方をしていますが、私のメモでは以下の通り

〇申請反対派7人

「申請を容認すべきでない」5人(平松、長尾、安田、松本、景山)

「申請について判断するべきでない」2人(米村、森岡)

〇申請賛成派8人

「申請は適切(あるいは適当)」6人(荒井、佐名木、築谷、浜田、永井)

「申請を容認する」1人(田口)

「申請はやむをえない」1人(足田)

「申請に反対するものではない」1人(岡空)

 

岡空議員は、6月議会で議決し中国電力に提出した「実効性ある避難計画を策定するまで島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性審査申請を行わないよう求める決議」の提案者になっておられました。今回の態度表明は、陳情や決議の審議や採択の態度と矛盾しており、安全協定の改定や実効性ある避難計画は必要としながら、反対しない(賛成の)理由は述べられませんでした。非常に残念です。

 

また、賛成派の議員も「事前了解権を含む安全協定の締結が必要」「稼働についての判断は別」などと発言。

新聞報道によると、米子市長は今日の米子市議会全員協議会に先立って「条件付きでの審査申請容認」の考えを示すことが明らかになりました。境港市中村市長も足並みをそろえると予想されます。そして今日行われる鳥取県知事・米子市長・境港市長の3者がテレビ会議で協議、平井知事は両市町の意見を踏まえ、明日2日の県議会全員協議会で方針を示すようです。

 昨日の全員協議会では賛否としては過半数が申請に賛成ですが、これまでの中国電力のやり方からは安全協定の改定が実現するのか大いに疑問です。

 また、この間、様々な形で市民から審査申請を容認しないよう求める声が市長にも届いているはずです。7月24日には、緊急講演・意見交換会に参加した「えねみらとっとり」などが、7月30日には「平和でくらしよい境港をつくる会(境港革新懇)」など4団体が境港市に申し入れをしています。

 奇しくも、今日の日本海新聞の読者の広場「散歩道」のコーナーに、境港市竹内町の岡崎好孝さんが寄稿されています。今年4月福島県を訪問し飯館村を通られた経験から、島根原発3号機の一連の経緯について「一度事故が起きれば、県も市も関係なく被害は広がる。本当にこれでよいものだろうか。一考を願いたいと思うのは私だけだろうか」と述べておられます。

 過半数には満たないもの議会の、そして市民からの、申請にストップをかける声に耳を傾けるべき時ではないでしょうか。長尾議員が意見表明の最後に、「あの時の市長の勇気ある判断が原発推進の流れにブレーキをかける歴史的に残る意見表明だったと評されるものになるよう求める」と言われた通りです。

 

長尾議員、私の意見表明、各団体の申し入れ内容を以下掲載します。

 

長尾達也

▽原発事故は、ひとたび放射性物質が大量に拡散されると、その被害がいかに大きなものになるか、空間的にも、時間的にも、社会的にも限定なしに広がり続け、そして人類はそれを防止する手段を持っていないことは、福島原発事故が証明しています。

 二度と再び日本のどこでも繰り返してはなりませんし、この地で繰り返させるわけにはいきません。

▽中国電力は、福島事故後、新たな安全対策を講じたというが、それは、中国電力が認める範囲で、出来ることをやったというだけにすぎません。

福島原発事故はいまだに収束しておらず、事故原因も解明されていません。だから、原子力規制委員会委員長も、福島原発事故を受けて作った新規制基準クリアーしても「安全とは言いきれない」と言っているのです。事故が収束もしていないのに、事故原因も解明されていないのに、原発を再稼働し、新規稼働するなどあってはならない事です。

▽しかも、適合性審査申請をしようとしている島根原発3号機は、137万3千キロワットの出力を持つ日本最大級の原子力発電所です。それを新たに稼働させようというのに、中国電力は、その「稼働の必要性」について、「39キロの宍道断層と93キロに及ぶ鳥取沖西部・東部断層の連動の危険性、ひずみ集中帯の関連」について、「たまり続ける使用済み核燃料と核のゴミの処分」について、「3号機の安全性について」など多くの疑問に納得いく説明をしていません。

また、中国電力が行った「市民説明会」は、警報が発令されていた最中での開催の強行と、新たな市民説明会の開催を求める市民に「説明会は計画しない」という市民に説明責任を果たそうとしない態度は、とても危険なものをあつかう事業体のとるべき態度とは思えません。市民は「市民説明会」で理解を深めるのではなく益々、疑問をつよめたと言わなくてはなりません。

 

▽市議会が6月議会で全会一致採択した「立地自治体並みの安全協定の締結を求める陳情」など6本の陳情と、議会の多数で可決された「実効性ある避難計画が策定するまで島根原子力発電所3号機の新規性基準適合性審査申請を行わないよう求める決議」も、島根原発で事故が起き放射性物質が拡散されると第1被害者になる危険性が具体的にある境港の状況から慎重に検討しなされたものです。市民の暮らしと命に責任を持つ行政の長として、市長が議会の決議、市民の「原発だけは困る」という市民の多数の思いを受け止め、「適合性審査申請の事前報告は受け入れられない」との態度を表明され、「あの時の市長の勇気ある判断が原発推進の流れにブレーキをかける歴史的に残る意見表明だったと評されるものになるよう求めて意見表明とします。

安田とも子 ※( )内は実際の発言では省略

●結論を申しますと、3号機の新規稼働のための手続きである、3号機の新規制基準適合性審査申請は認めるべきではないと考えます。

●まず、私は原発は人類と共存できない、動かすべきではないと考えます。福島第一原発事故で目の当たりにした事故や災害、放射能汚染のリスクを考えれば、世論調査で6割が稼働反対というのも当然です。

(使用済み核燃料の再処理はリスクを伴いますし、再処理工場も事故やトラブルでいまだ稼働していません。再処理後も残る高レベル放射性廃棄物の最終処分もまだ検討中です。すでにこれまでの稼働で日本中に残されている核のゴミの問題を解決できていないのに、)これ以上核のゴミを増やす原発稼働は認められません。

〇災害対策や補償費用、廃炉費用、最終処分費用を考えれば、原発は高コストというのが世界の常識になりつつあり、世界の先進国が原発から撤退し始めている要因の一つと言われています。

●そもそも、安全協定、原子力防災計画、住民への周知など、議論の前提になるべき条件が整っていません。

〇本市が中国電力と交わしている安全協定は原発事故による被害は周辺にも広がることが自明であるにもかかわらず、立地自治体と同等のものになっておらず、さらに、それに対して中国電力が誠意ある対応をしていないことが重大です。本市に対して3号機についての説明は今年4月にようやく開始されたばかりであり、他議員も言われるように、中国電力のスケジュールに合わせる必要はなく、現時点で判断するべきでないというのはもっともな意見です。

〇また、原子力防災計画、広域避難計画についは、100%に近い計画ができないのであれば、原発は認めるべきではありません。なぜなら、原子力災害は自然災害と異なり、人が作ったもの、しかも民間の会社が経営する一事業所から起こる災害です。重要なベースロード電源という国策のために国民が犠牲になる時代は終わっています。100%の安全が確保されるものでなければ認められないと言ってもいいのではないでしょうか。

(原子力規制委員会の田中俊一前委員長が繰り返し「規制基準に適合しているからと言って安全だとは言わない」「絶対安全、ゼロリスクではない」との趣旨の発言をしていたことは周知のとおりです。)大きな事故や災害が起こらないのであれば、大規模な防災計画を作る必要はありません。未曽有の自然災害が繰り返される日本列島、境港でも自然災害への備えに市民が自治防災に向かうよう支援し、災害時には先頭に立って市民の命を守る立場の職員が、原子力防災に振り回されている現状にも胸を痛めます。

〇原発のリスクや避難計画について、住民への十分な周知、住民の理解や避難訓練への参加もまだ途上です。

 

●以上のことから、自治体、国、事業所があげて、再生可能エネルギーの研究開発、普及や、高レベル放射性廃棄物の最終処分の研究、そして省エネルギー社会への転換に向け努力を始めるためにも、原発の稼働に向けての動きはストップさせるべき、すなわち、3号機の適合性審査申請はやめさせるべきだと考えます。

島根原発3号機新規制基準適合性審査申請に関する意見表明についての要請

平和でくらしよい境港をつくる会

新日本婦人の会境港支部

全日本年金者組合境港支部

米子民主商工会境港支部

今、中国電力は島根原発3号機の新規稼働並びに2号機の再稼働について申請手続きを進めています。2号機は、地震によってメルトダウンを起こし爆発した福島第一原発とほぼ同じ構造で、事故の可能性が高いものです。又、3号機は原子力規制委員会更田委員長も「往々にして合理的設計がとられており、耐震性などで新しい炉だから余裕があるかというと必ずしもそうではない」と1号機、2号機よりも脆弱性が高いと想定しています。

 境港市議会は、6月議会にて「実効性ある避難計画を策定するまで島根原発3号機の新規制基準適合性審査申請を行わないよう求める決議」を採択し、これに加えて6本の陳情を採択しており、明確な意思表明を行いました。

 加えて、7月6日に開催された中国電力による島根原発3号機の説明会では、参加した市民から稼働に反対する多くの意見が表明されました。各種の世論調査でも、原発の稼働には6割以上の市民・県民・国民が反対をしています。

 さらに、事実として中国電力は、3.11からこの7年間、原発なしで電力の供給を行っており、原発が必要ないことを証明しました。

 市長に求められる最大の責任は、市民の命と暮らしを守ることです。上述の客観的現状から、今原発の再稼働並びに新規稼働は行うべきではありませんし、その必要性もありません。

 議会の全員協議会のあと、市長の意見表明が行われる予定ですが、市長の最大の責任である、市民の命と暮らしを守る立場から、「島根原発3号機の新規稼働に賛成する条件はないので新規制基準適合性審査申請を認めない」旨の意思表明をされるよう、ここに要請を行います。

以上

集会アピール  

緊急講演・意見交換会「自治体は原発のリスクを負うことができるか?」

原発に、絶対の安全はありません。東日本大震災による原発災害は、ひとたび事故が起きれば、放射能汚染が海、田畑、山林、まちへ広く拡散し、世代を超えて被害が長期にわたる現実を示しました。

 島根原発で事故が起きた場合、風向きによって被害は周辺地域へも及びます。立地自治体と周辺自治体とを隔てることなく、水、生活基盤、商工業拠点、観光資源は汚染され、大規模かつ長期的な住民避難を要します。鳥取の豊かな自然、文化、コミュニティも破壊され、人々の暮らしを支える産業にも取り返しのつかない打撃を与えることになります。

 中国電力の原発の安全性を審査する原子力規制委員会は、「絶対的な安全性が確保できるわけではない」と明言しており、再び”想定外の事故”が起きる可能性を否定できません。原発の安全に責任を負う主体が不在の中、住民の暮らしと命、財産を守る責任を負う自治体が、原発のリスクを、事実上背負うことになります。

 日本の原発事故をきっかけに、世界は再生可能エネルギーを基調とする社会へと舵を切り、政策を転換し、産業を育成し、雇用を創出しています。世界の潮流に逆行し、島根原発3号機の稼働を容認すれば、未来の世代に対し、40年以上の長期にわたり原発事故のリスクを負わせ続け、膨大な核のゴミと処理費用等の負担を押し付けることになります。未来の世代への責任に真剣に向き合うと、私たちは島根原発3号機の稼働に反対です。また、自治体が原発のリスクを事実上背負うことになる現実を直視すると、拙速に結論を出すことは大きな禍根を残すと危惧しています。

 原発から30㎞圏を含む鳥取県、境港市、米子市は、避難計画の策定が義務付けられ、原発にかかる当事者であることは明らかです。ところが、中国電力は周辺自治体と「事前了解権」を含む安全協定を結んでいません。周辺自治体と住民の権利を軽んじる不条理な現状に対し、以下を求めます。

1.住民の平穏な生活を守るという自治体の責務を果たすため、周辺自治体が立地自治体と同じ「事前了解権」を、持つ安全協定に改定されるまで、島根原発3号機の新規制基準適合性審査申請を容認しないでください。

2.ふるさと喪失のリスクを、長期にわたり住民、自治体に負わせる島根原発3号機について、エネルギー面、コスト面等総合的に検証し、多様な社会層で十分な議論や合意がなされるまで、同申請を容認しないでください。

以上

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2018年

7月

27日

議会報告発行しました

党議員団で議会報告を発行しました。日本海新聞、山陰中央新報(以上7/26付)、しんぶん赤旗の各紙に折り込みました。

実は今回、修正版です。先週発行したものに重大な間違いがあり、読者の皆様に間違った情報を伝えることになり、関係者の皆様にはご迷惑をおかけしました。今後、このようなことがないように、校正を徹底します。この場をお借りして改めてお詫び申し上げます。

2018年6月議会報告 修正版.pdf
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2018年

7月

27日

6月議会報告③

遅ればせながら、6月議会の一般質問の内容をご報告。6月19日の一番手でした。

テーマは「健康づくり推進政策」と「生活困窮者への支援」についてです。

今日は「健康づくり推進政策」。推進のためには栄養士の増員が必要では、と提案しましたが、現状の人員で工夫したいとの答弁。健康増進、食事や栄養指導、市民の自覚的な健康管理、子どもの食育、いずれも専門家による導きがあってこそだと思いますので、引き続き、栄養士をはじめとした専門スタッフの充実を求めていきたいと思います。

 健康全体にも影響する歯周病対策のため、成人歯科検診を提案し、これについては検討すると言ってもらいました。

 

議会だよりや、議員団発行の議会報告の作成のため、以前から一般質問は自分で逐語起こしをしています。番号は私が加えたものですし、読みやすいように文体を変えている部分もありますが、敬語の部分とそうでない部分があって、読みにくいかもしれませんが、ご了承ください。

 

健康づくり推進政策について

【安田】境港市では、今年度、健康づくり推進計画の策定に取り組んでいるところであり、大いに期待するところです。健診受診率向上のための制度改正や様々な健康相談も展開してこられ、今、高齢期の虚弱、いわゆるフレイル予防の栄養・口腔機能、身体活動、社会参加ための事業も、地域包括支援センターが中心となって取り組んでおられる。

 今日は、フレイル予防にも重要とされる、栄養、口腔機能の維持や改善のための施策について質問をしていきたい。

    まず、食事、栄養管理が、健康にとって大事だということは、周知のとおりです。そこでまず、本市の栄養管理や食生活にかかわる事業の概要と課題についてお答えください。

    次に、全国で17万人が活動されている「食生活改善推進員」について、お尋ねします。通称「食改さん」とも呼ばれています。「私たちの健康は私たちの手で」をスローガンに、「健康づくりの案内役」として活動されているボランティアで、食育の推進と普及、啓発、食事バランスガイドの普及啓発、などに取り組んでおられます。境港市の食生活改善推進員の活動の概要をお答えください。

    食生活にかかわることの専門家といえば、栄養士です。国の通知でも、「市町村は、行政栄養士の職務の重要性にかんがみ、行政栄養士の計画的かつ継続的な確保に努めること」とされています。健康増進法に基づき策定された「基本方針」がH24年に「21世紀における国民健康づくり運動」いわゆる「健康日本21」に改定され、翌25年に出されたのが、先ほど紹介した通知です。そこで、本市における、栄養士の位置付け、役割はどうなっているか、お答えください。

    次に、口腔機能の維持、改善についてうかがいます。歯と口腔の健康は、食事や会話など、日々の生活を豊かにし、心身ともに健康で過ごすために欠かせないものです。地域包括支援センターの事業では、口腔ケアや、口腔の体操も取り入れておられます。また、歯周病は、多数の病気と関連していることも分かっています。国のデータによると、1524歳では重症の歯周病患者が10%に満たない一方で、年代が上がるにつれて徐々に罹患率が上がり、前期高齢者で約50%、後期高齢者で約60%に達しています。そこでまず、本市の歯周疾患や齲歯・虫歯の状況について、実態をうかがいます。

    また、健康日本21では、定期的に歯科検診を受けることが予防や早期治療につながり有効とされています。高齢者の保健事業として後期高齢者歯科健康診査が実施されていますが、これらの事業に加えて、成人歯科検診の実施が有効と考えますが、市長の見解をうかがいます。 

 

【市長】

    本市では、妊娠期から幼児期にかけて、栄養指導や離乳食講習会などを通じて栄養相談を実施している。

 保育園や小(中)学校においては、子どものころからの健康な生活習慣を身につけることをめざし、管理栄養士が中心となって食育の推進を図っている。また、保育園、小中学校の給食については、適切な栄養量の確保や新鮮で安全な食材の利用に努め、安心安全でおいしい給食を提供し、健全な成長や生涯を通じた健康の保持増進を図っている。

 食育を広く進めていくためには、ライフステージに応じた効果的な取り組みや、食生活改善推進員等との連携が不可欠である。現在策定中の「(仮称)境港市健康づくり推進計画」の中で、食に関する課題を明確にし、改善を進めていきたい。

    現在214名の方に食生活改善推進員として活動してもらっている。減塩をテーマにした味噌汁の塩分測定などの学習をはじめ、各公民館での料理教室、郷土料理の伝承など、「食」を中心に、地域に根付いた健康づくり活動の担い手としてご尽力いただいている。平成28年度には、食生活改善推進員自らが、小学校5年生を対象に「朝食実態調査」に取り組まれ、この結果をもとに、昨年度は、毎年各公民館で実施されている「子どもクッキング教室」に、児童が食習慣を振り返るきっかけづくりとなるよう、生活リズムと食事バランスについての学習も取り入れて実施された。

    管理栄養士の役割については、食生活の専門家として、保育園・小中学校におうての安全・安心な給食の提供をはじめ、地元食材を使った食育活動の推進、乳幼児から高齢者に至るまでのバランスの良い食生活の実践・健康相談など、あらゆるライフステージに応じた健全な食生活の推進を行っている。

 特に、乳幼児期からの正しい食事のとり方や、望まし食習慣の定着など、食を通じた人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図るため、食の大切さを伝えていくことが、管理栄養士として重要な役割だ。

   また、食生活改善推進員を養成し、推進員の方々と共に地域に根ざした活動を行うことで、市民の生活習慣病の発症予防と重症化予防を徹底し、健康寿命の延伸、医療費の削減にも取り組んでいる。

    本市の虫歯の罹患率は、平成28年度では、3歳児で9.9%、小学生で50.2%、中学生で38.8%となっており、経年的に見ると減少傾向にある。

成人期以降については、県民歯科疾患実態調査によると、県民の罹患率は、20歳代から60歳代において9割を超えている。歯周病にかかっている人の割合は、年代を追うごとに増加し、60歳代以降では、5割を超えているという結果であり、本市も同様な傾向にあると考えている。

    本年度から取り組んでいるフレイル予防の一つである、口腔機能の低下を予防するためには、早期から、自分の歯や口の状態に関心を持ち、かかりつけ歯科医を持つことが大切である。そのきっかけづくりとして、歯科検診を受けることは有効なので、実施については本年度策定する「(仮称)境港市健康づくり推進計画」の中で検討していきたい。

 

 

(追及質問)

【安田】今年3月策定された、第三期境港市地域福祉計画では、基本目標の「地域福祉を作る人づくり」として、「健康づくり地区推進員」とならんで、「食生活改善推進員の活動を積極的に支援するとともに、市民の健康づくりを地域ぐるみで推進するため、研修や学習の機会を提供し、健康づくりの中心となる人材の育成につとめます」とある。ボランティアの皆さんの活動には本当に敬意を表するものだが、残念ながら地域全体、広く市民にその活動の成果が浸透できていない印象がある。新たな具体的な取り組みのお考えはないか。

【福祉保健部長】食生活改善推進員の活動を充実させていきたい。構成メンバーの高齢化、人数が少なくなる状況が起こっている。2年に一度養成講座を行っており、人員の増強を行っているが、昨年の養成講座では、若い方の参加を進めるということで、託児をして、子育て中の皆さんにも参加していただける形にしている。新たに男性の会員も作っていこうということで、現在1名の方が入ってもらっている。まずこういった形で会員を増やし、その活動を皆さんの目に見えるような形で広めていきたい。

【安田】会員の年齢層はどれくらいの人数割合になっているか

【福祉保健部長】年齢層は確認していないが、活動の中でも子どもを見守りながらやろうということなので、おそらく小学生までの子どもをお持ちの方々だと思う。

【安田】たとえば、今、全国で広がっている、子ども食堂や地域食堂の取り組み、市内でも介護施設が地域貢献活動として毎週や月1回実施している。食改さんも年数回の料理教室などから、これを毎月の子ども食堂や地域食堂に発展させ、会員以外の地域の人も一緒になってできる活動をされるとよいと思うが、いかがでしょうか。

【福祉保健部長】子ども食堂は「はまかぜ」が行っておられる。これが広がっていくということは確かに必要なことかと思っているが、地域の力があって初めて成り立つことだと思う。そういった形になるようにいろいろな策を考えていきたい。

【安田】県の「子どもの居場所づくり」推進モデル事業がありますし、実施となれば、行政としても支援をしてもらいたいと思う。

また、本市でも以前行われていた、味噌汁の塩分調査や、塩分チェックシートなどで、食生活の実態調査をおこなえば、それによって、市民への啓発を図ることも同時にできる。こういった取り組みについてはどのように考えられるか?

【福祉保健部長】味噌汁の塩分測定については、食生活改善推進員も非常に重きを置いており、塩分測定器を持って、食事時に近所周りを訪問して塩分測定し、味噌汁の薄い・濃い、などの統計もとっている。そういった活動を一つずつ積み重ねてもらって、市全体の活動に広がればいいと思う。

【安田】いずれにしても、食生活改善推進員のやりたいことということが重要だと思う。その要望とやる気にこたえられる支援をしてもらいたい。

そして、食生活改善推進員の活動の推進にも、せっかく統計もとって市全体、地域全体に広がるということであれば、そういったデータの分析などにも、栄養士の役割が重要になってくると思うが、栄養士の配置は現状では足りないのではないか。健診から継続指導につながるなどして日常的に食生活や栄養面の相談をされれば、対応が必要。鳥取県の食生活調査では、野菜の摂取量が少ない、30代、50代の男性と20代の女性の朝食の欠食率が高いなどの傾向があるので、こういったことの分析にもとづいた専門的な助言も必要でしょう。また、今は乳幼児健診の栄養指導も子育て支援課の栄養士が行っているが、当然、健康相談も含め、健診の担当課である健康推進課への栄養士の配置が必要だと思うが、この点、いかがか。

【福祉保健部長】栄養士の配置については、健康推進課には配置していないが、子育て支援課と協力できる体制をとって業務を進めている。近い将来、給食センターにも栄養士の配置があるので、そちらの栄養士を健康推進課に配置するということもやり方の一つかと思うので、検討していきたい。

【安田】健康づくり推進、食育ということで、大きな事業や計画に取り組もうとしている時なので、今ある人材でなんとかやりくりするということではなく、新たな人材の育成や増やしていくということも、力を入れる部分には必要だと思う。ぜひ、人材の増員ということも前向きにご検討いただきたい。市長のお考えもお聞かせください。

【市長】現在市には二人の栄養士がいる。一人は全体的な栄養に携わっており、もう一人は学校給食の子どもたちの栄養指導や食材の調達の仕事をしている。加えて県の栄養士が3人学校給食には配置されている。教育委員会の栄養士については、もう少し市民全体の健康づくりの方にタッチしていってもいいのではないかと思っているところだ。教育委員会とも早急にこの件についても協議をしていきたい。安田議員は増員ということをおっしゃり、よくわかるが、市全体のいろんな状況を勘案しながら採用は考えていかないといけない。現有勢力の中でそういった体制がしっかり取れれば対応できるということであれば、今言ったようなやり方で市民の健康づくりについてもしっかり対応していきたい。

【安田】給食センターの栄養士について言及があったが、今後の給食センターの在り方ということもあるが、市民、保護者、子どもたちのニーズとしては、食育はもちろん、アレルギー対応ももっと充実してほしいという声も聞く。そういった意味では、市長はそういわれるが、やはり重点に力を入れるところには、人を配置するというのは当然の考え方だと思う。英断して人を増やしていくのかしっかり検討してほしい。

 

成人歯科検診については、取り組みを始めること自体が、取り組みを始めること自体が、まず口腔ケアが大事ですよという啓発になり、治療に伴う痛みや長期化を懸念して受診を躊躇する方の背中を押してあげるきっかけにもなりえる。歯科医師の先生方とも意見交換をされ、実施にむけ検討してほしい。

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