新年あけましておめでとうございます

あっという間に2019年を迎えました。

年末は21日に12月議会を終え、同日議会だより編集会議、中国電力説明会と続きました。その後も「軍事費削ってくらしと福祉・教育の充実を 国民大運動境港市実行委員会」の市交渉、各種クリスマス会などに参加、街頭宣伝や市民からの相談にも取り組みながら、合間を縫ってしんぶん赤旗の集金や年越しの準備などなど。それぞれに報告できていなくてスミマセン。

 これから少しまとめてご報告。

今日はとりあえず、12月議会の報告。まずは一般質問。

 今回は、これまで当事者の方からの相談に乗った経験もあり、いつか取り上げたいと思っていた、性的マイノリティの方が暮らしやすい環境の整備について。昨年の杉田水脈衆議院議員の差別発言についてもきちんと見解を示して、多様性を受け入れる社会の構築へ進んでいく必要があると思いました。いつもどおり、安田文責でご紹介します。

 

文末に鳥取県のリーフレットと千葉市のガイドラインを紹介しています。こちらもぜひご覧ください。

 

同性パートナーシップ制度など、性的マイノリティ(少数者)の人が安心して暮らせる社会について

【安田】児童虐待、セクハラ問題、官公庁での障がい者雇用水増し、外国人労働者・技能実習生の劣悪な実態など、今年に入ってからだけでも、全国でさまざまな問題、課題が表れており、性別、人種、年齢や障害の有無などにより差別されることなく、一人ひとりが能力を発揮できる全員参加社会の実現、多様性社会、ダイバーシティの推進が叫ばれるなかで、非常に残念な状況です。私は、どういう立場や分野の問題であれ、マイノリティ(少数者)の人たちが肩身の狭い思いで生活せざるをえなかったり、あるいは差別や偏見のためにありのままの自分を肯定できなかったりすれば、それは健全な社会とは言えないと考えます。逆に、マイノリティといわれる人たちが暮らしやすいほど、その社会のすべての人にとっても暮らしやすい社会だと言えるのではないでしょうか。

特に、性的マイノリティをめぐっては、性意識・性行動にかかわる事柄であり、ふだんほとんど公然と語られることがなく、当事者がカミングアウト(公表)しなければ事態が表面化しないということもあり、関心が高まりつつあるものの、理解が進んでいるとは言い難い状況です。

1)そこで、まず伺いたいのは、今年夏、杉田水脈衆議院議員による発言についてです。杉田議員は「LGBTのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がないのです」などと雑誌へ寄稿し、国内外の人々、LGBT当事者団体、難病患者支援団体、障害者支援団体、与野党の国会議員、大臣、弁護士、大学教授、芸能人など著名人からも批判が殺到しました。「生産性」という物差しで行政支援の必要性を説くことは、同性カップルのみならず、結婚を選ばない方、子どもを持たない方に対する攻撃とも言えます。性的マイノリティへの無理解、偏見、差別を許さず人権を守ることが、一人一人が大切にされ、誰もが生きやすい社会につながります。市長は、この杉田水脈議員の発言についてどのようにお考えでしょうか

2)次に、2014年、オリンピック憲章に「性的指向による差別の禁止」が加えられ、国も「ニッポン一億総活躍プラン」等において、「性的指向、性自認に関する正しい理解を促進するとともに、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進める。」と明記ししています。地方自治体においても更なる性的マイノリティへの配慮意識の醸成が必要となっています。今年3月議会での質問に市長、教育長とも、市民や職員・学校職員対象の研修を行い、子どもたちへの指導・教育に取り組むと答えられました。こうした研修や啓発とともに重要なのが、誰もが暮らしやすい環境の整備です。そこで伺います。本市で、性的マイノリティの人が暮らしやすい環境づくりのためにどのような配慮や施策がとられていますか

3)今、当事者を含む「自治体にパートナーシップ制度を求める会」が、同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」の導入を求めて、多くの自治体で当事者の住民がそれぞれの議会に請願、陳情、要望書を提出するなどの運動に取り組んでおられます。米子市にも陳情が提出され、全会一致で可決され、報道によれば、伊木市長は「差別解消に取り組み、必要な制度について議論していく」と導入に意欲を示したとのことです。諸外国では同性カップルにも法的な家族としての保障を行っており、G7の中で同性婚も同性パートナーシップ法もないのはついに日本だけと言われています。日本でも自治体から同性パートナーを公的に認証する制度が広がりつつあります。いわゆる同性パートナーシップ制度は、直接的な法的効力はないものの、企業や社会に与える効果は大きく、異性間の事実婚と同様に、同性カップルを事実上の家族として扱う動きが広がりつつあります。現在9自治体が導入し、今年7月現在、195組が同性パートナーとして認められています。さらに千葉市、熊本市など9自治体が導入をすでに予定しています。性的マイノリティは都会だけにいるのではないし、先進的な自治体にしかできないわけでもありません。本市でも同性パートナーシップ制度の導入について、検討しようではありませんか。市長の見解を伺います。

 

【中村市長】

1)本市では、平成3年に人権尊重都市宣言をし、人間の自由・平等、幸福を求める権利等の基本的人権の尊重を市民一人一人が自覚し、市民全体の中でその実現を確立しなければならないとしております。多様な価値観と生き方がある中で、人権が尊重され、多様性が尊重される社会をつくっていくことは、当然のことでありまして、杉田議員の発言は、共助共生社会を構築するうえで、相容れず、問題への理解不足と当事者への配慮に欠けた発言であったと感じております。

2)誰もが心豊かに安心して暮らせるまちづくりのためには、お互いを知り、関わりを持つことが必要だと考えます。性的マイノリティの人は、まわりにいないのではなく、気づいていないだけだと言われています。性的マイノリティに対する無関心や誤った認識が偏見や差別を生み、当事者が生きづらさを感じていると聞きます。性的マイノリティについての正しい理解と立場が異なる一人一人が何をし、社会全体でどう取り組むべきかといった、市民に向けた研修や啓発に取り組んでいます。

3)パートナーシップ制度は、自治体や企業が同性カップルに対して独自に定めた権利や特典であり、健康保険の被扶養者にできない、勤務先の福利厚生の適用が受けられない、公営住宅の申し込みができない、など、異性の夫婦との不平等を是正するために、婚姻関係に相当する権利を認めることを目指すものであります。パートナーシップ制度を導入している自治体では、条例を制定しているのは渋谷区のみで、他は、要綱としての制度であります。また、導入自治体も少ない状況にあることから、課題や問題点など、十分に調査研究し、慎重に検討してまいりたい。

 

追及

1)

【安田】追及の初めに、性的マイノリティという表現について、ですが、これまで性的マイノリティは、一般的にはLGBTと称されることが多いです。これはレズビアン(L=女性同性愛)、ゲイ(G=男性同性愛)、バイセクシャル(B=両性愛)、トランスジェンダー(T=性同一性障害などこころと身体の性が一致しない人等)をさす用語です。性自認や性的指向が明確ではない人クエスチョンQという表現も加えてLGBTQと表現されることも多くなっていますし、多様なセクシュアリティを表す「LGBTs」という言葉もあります。

 しかし、性的マイノリティには、こうした類型にあてはまらない人たちもたくさんいます。たとえば、性の発達が先天的に非定型的である「性分化疾患」(インターセックス)の人たち、や性自認が中性である又は性別を決めたくない人エックスジェンダーもいます。

 最近では、LGBTという言葉のほかに、性のあり方の多様性を認める立場からSOGIという用語が使われるようになってきました。これは、Sexual Orientation(性的指向)と Gender Identity(性自認)の頭文字をとった言葉で、「ソギ」または「ソジ」と読みます。

 LGBTという用語は、当事者自身が積極的に使い、社会的にも広く認知されていますが、少数者(マイノリティ)と総称する表現も差別的と捉える考え方もありますが、マイノリティの人たちが暮らしやすいほど、社会の成熟度が高まっているというのではないかという考えから、今回は性的マイノリティという言葉をつかうことにしました。

質問内容にもどりますが、杉田水脈議員は、2015年にもネット番組や自身の公式ブログでLGBTの方々への差別的な発言を発信しています。こういった考え方、子どもを産むことだけを生産性としていることも誤りです。子どもを産まないこういった方々でも、さまざまな社会的な生産を生んでいる方もおられますし、もし、何もできることがない、あるいはとても少ないとしても、存在しているだけでも意味があると思う親族や友人がいる限りは、その方の生きている意味ということも非常に大きなものだと思います。こういった、杉田水脈議員の考え方については、優性思想、神奈川県相模原市の障害者施設での大量殺人犯の思想にも通ずるものがあり、もちろん、個人個人がどういった思想を持とうが自由ではありますが、国会議員という公的な立場にある人の発言としては、やはり誤りであり、市長が言われたように、間違ったもの、関係者への配慮を欠くもの、理解不足なものだということをしっかりと指摘をしていくことが必要だと思います。さまざまな立場から、市民の皆さんや教育機関の中でも、こういった差別的な発言については、誤りを正していったりすることも必要になってくるかと思います。教育長としても、教育者の立場から、杉田水脈議員の発言に対して思いがあったのではないかと思いますので、教育長のご意見も聞かせていただけたらと思います。

【松本教育長】マイノリティということに関して、我々はすべての人間は何らかの分野でやはりマイノリティを持っている、やはり人権尊重する社会が本当に作られるというのは、多様性がどう受け入れられるか、そこがスタートだろうと思います。学校で起こっているいじめ、これも、やはり多様性というものが受け入れられない中で発生をしています。そういった中で、この議員の発言というのは、市長の方からお答えがあったように、決して受け入れられない発言であると認識しています。

【安田】杉田議員の発言を擁護するような特集を組んだ雑誌が廃刊に追い込まれたことで、一応の終息を見せていますが、こうした公的な方による発言、そこから派生する構造的な偏見だとか、差別を解消し、一つ一つ丁寧に対応していくことが非常に重要だと思いましたので、この質問をさせていただきました。

2)

私自身、日常生活の中で、なかなかこの性的マイノリティの方に出会うということ、出会っていないのではなくて、気づいていないということなんだと思いますが、経験はありませんが、潜在的におられるんだなという経験はしたことがあります。病院、学校、市役所で相談を受ける仕事をしておりましたが、その中で、LGBTの方にお会いすることがありました。しかし、そのことをあえてほかのスタッフに話す必要もなく、私の心と記録にとどめるということだったのですが、その時も、そのことにことさら驚かないだとか、詳しく聞きすぎないというような細かい配慮も必要だったわけですが、そういう対応が当たり前になるくらいな社会になるためには、まだ未成熟な社会ではないかと思っているところです。ただ、今、LGBTの方に関心が寄せられたり、理解が進む中で、周りに本当の自分のことを伝える、カミングアウトする方も少しずつ増え、広がってくる、「実はゲイです、レズビアンです、トランスジェンダーです」とカミングアウトする人が増えてくる、そういったときに、どういった対応をするかということが求められる時代に入っていくと思います。逆に言えば、カミングアウトしたときに、大きな傷つきを受けている方もこれまでたくさんおられたのではないかということでもあります。同性愛については、思春期以降でないと気付かないかもしれませんが、体の性と心の性の不一致、トランスジェンダーについては、幼少時のころから、早い時期から違和感に気づくということもあると思いますが、自分のセクシュアリティが他の多くの子たちとは違うと気付いた時に、性の多様性についてやはり前向きな情報がほとんどないというのは、大きな問題だと思いますので、啓発や研修が今本当に十分な状態なのか、ということについてはしっかりと考えていただきたいと思うのですが、啓発や研修が十分かということについてはどのように感じているでしょうか。

【中村市長】いろいろ機会をとらえてそういった啓発に努めているところでありますが、この問題についてはさらに取り組みを深めていかなければならない問題だと認識をしております。

【安田】もうおひとり、私が相談を受けた方の中で性的マイノリティの方がおられましたが、この方は、体の不調も併せて、自分の性自認をカミングアウトしたことによって会社を辞めなければならないという事態にありました。そういう意味では、(田口議員が指摘した)市役所の中での(理解や福利厚生の)こともありますし、民間企業の中でも啓発が必要ではないかと思います。指針やガイドラインを示して、市役所でも、学校でも、あるいは民間企業の方がそれを見ればどういうふうに対応すればいいのかということもわかるもの、というのは公表していく必要があるのではないかと、そういうことを市が発信していくことによって、啓発にもつながりますし、自分たちは大事にされているんだという感じを当事者の方に持ってもらえるということにつながると思いますが、ガイドラインの作成についてはいかがでしょうか。

【伊達総務部長】私も直接当事者の方と話をしたということはないのですが、奈良県の「私たちはここにいる」という(ガイドライン)ですが、これは本当に当事者の声が書いてあり、学校現場で困ったこととか、職場で困っている、社会生活で困っていること、職場では何をしてもらいたいかということも書いてあります。当事者の声として、職場では当然上司、管理職や同僚をきちんと研修してほしい、相談窓口が欲しいとか、トイレも多機能のトイレを作ってほしい、更衣室もきちんとしてほしい、など、それぞれご要望がきちんと出ています。そういうことを我々きちんと把握してどんな対応をしないといけないか、学校のことも書いてあります。制服のこと、男女混合の授業にしてほしい、体育も一緒にしてほしいなど、書いてあります。そういう具体的な生の声をきちんと把握することも、今は大事なのかな、と感じています。それから職場の環境を整備していくことも、一つ一つできることからやっていかないといけないのかな、と思っています。

【安田】全国でそういったガイドライン作っているところがたくさんありますし、当事者の方に来てもらってご意見をいただきたいということであれば、いろんな団体もありますので、そういった助言も受けながら作成に向かっていただきたい。

市役所での窓口対応についてですが、ガイドラインのあるところでは、窓口や公共施設での配慮についてもきめ細かく助言がされているんですが、市役所で専門の相談窓口がなくても、どこの窓口でも適切に対応できるようになるというのが、望まれる形ではないかなと思います。ただ、そういうふうにできるようになるまでは、対応するときには人権推進員に加えて、保健師も医療的な知識も持っておられるので、対応や助言もできるのではないかと思いますので、どういうふうに対応すればいいのか、こういった対応でいいのか、というようなことについて、庁内ですぐに、当たり前に相談できる体制が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【伊達総務部長】役所の中では、人権政策室が窓口になっておりますけど、鳥取県も東中西、西部で言えば西部総合事務所やよりん彩も倉吉にあって、ただ、カミングアウトする人が増えているといえどもまだまだ少なく、相談件数も少ないが、県の方には若干相談があるという現実もあります。ですから、役所であれば、人権政策室に相談してくださいということを周知して、相談に来ていただく、そして議員が言われたような、職員一人一人がもっと知るということ、理解するということ、自分事として学んでいくということも非常に大事だと思っています。そういう取り組みもしてみたいと思います。

【安田】もうひとつかかわった方のことで印象的だったのが、さまざまな理由から市外に転出をすることになったのですが、転出届の性別欄がありまして、自分の自認する性ではない方に〇をつけるということだけでも非常につらそうにしていました。この苦しみは、私にもわからないのですが、こういうことでもつらいんだなーということで、私たちも様々なアンケート調査などで、性別を選んでもらったりもありますが、公的書類の中で不必要な性別欄がないかということは精査をして、必要でないものについては、性別がなくても個人を特定することはいくらでも可能だと思いますので、そういった検討、精査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【伊達総務部長】男女の性別記入するだけでも、ということはあると思います。人権の方の出前講座のアンケートでは「男・女(自認するもの)」というふうに、男女だけでなくて自認する性を書けるように、そういうことも改良はしているところです。市民課の方の性別に関係なくとれるもので、印鑑証明の申請書でしたか、きちんと書く欄をなくしております。そういうふうに一つずつ、書くだけでも本当につらいということは言われていますので、見直せるものは見直していく方向で向かいたいと思います。

【安田】窓口で当事者の方になかなか出会われていなかったり、身近でも出会っていないということですが、市外へ転出された方も、都会の方で対策や市の対応はいいけれどもそれでも世間的な対応はまだまだだとおっしゃり、当事者の声がどれだけ届くか、響くかですねと言っておられます。市長はパートナーシップ制度については課題なども見ながらということは当然だとは思いますが、慎重にとおっしゃいましたが、そういう方も潜在的に、私たちにとって潜在的にであって、おられるという認識の下で判断をしてもらいたいと思います。

田口議員の質問への答弁で、公営住宅の入居条件で、事実婚を認めるという但し書きがされているということなんですが、事実婚についてはどのように確認をされているのかお答えください。

【下場建設部長】事実婚も実績がまだございませんでして、取り扱いについては未定なところもございますので、そのあたり整理したいと思います。

3)

【安田】事実婚についても性自認や同性愛とは違いますが、様々な事情からそういう選択をしておられる方、せざるを得ない方、おられます。なぜそのことを聞いたかというと、来年度からパートナーシップ制度導入予定の千葉市なんですが、千葉市もガイドラインもきめ細かいものを作っておられて、市民意識調査も定期的にしておられて、来年度予定しているパートナーシップ制度は、同性愛の方だけではなく、異性愛の方の事実婚の証明もできるものにするということで、そういう証明は必要ないという方々もおられるとは思いますが、そういった制度的なことを整えるということこそが、社会的な理解を進めたり、直につながることではないかなと思いますので、前向きにご検討いただきたいと思います。

【下場建設部長】公営住宅は、住宅を求めている方にとってみれば、最後の砦というところがございますので、住宅に困窮される方につきましては、特別な扱いの対象も広げて対応していきたいと思います。

【安田】パートナーシップ制度については、法的に婚姻という形でできていない部分を担保してほしい、あるいは税の制度などにも適用できる制度として対応をしてもらいたい、そのように制度をつくる、ということもありますので、パートナーシップ制度についてももう一度お答えをお願いします。

【中村市長】いろいろご提言をいただきましたけれども、LGBT、性的マイノリティの方々に対する、環境づくりというか、そういったものには、認識をちゃんともって、しっかりと取り組みを検討していきたいと思います。 

【安田】検討を前向きにお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

鳥取県 性的マイノリティ リーフレット.pdf
PDFファイル 1.7 MB
性的マイノリティ千葉市ガイドライン.pdf
PDFファイル 1.8 MB