10月が終わってしまう前に

9月議会の一般質問の報告をしておきます

急に寒くなり、冬支度も始まっていますが、野菜の価格の高騰など、災害級の今年の夏の影響が今も続いています。

 9月議会では、猛暑対策、熱中症対策として、提案を交えて質問しました。今回も全文を安田の文責でご紹介します。異常な猛暑に、個人宅のエアコン設置にも公的な助成をする自治体が生まれています。みなさんの生活実態や要望をさらにつかんで要望を続けたいと思います。

【安田】今年は、豪雨、台風、地震と、自然災害が続きました。犠牲になられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。そして今年は、気象庁が、「一つの災害と認識している」と表現した記録的猛暑も続きました。そんな夏の終わりに際して、本市における猛暑対策、熱中症予防策についてお聞きします。

 先日、気象庁が6月から8月の平均気温が西日本では2013年に次いで史上2位の暑さだったと発表しました。消防庁の集計では、全国で熱中症による救急搬送者が430日から826日までの累計で過去最多の89,305人にのぼり、155人が亡くなっておられます。この状況を踏まえ、まず猛暑対策として、①以前定岡敏行前議員が提案した、子供たちが水遊びできるような公園の整備、学校での熱中症指数WBGT指数を計る熱中症指標計の活用、遮光フィルムや冷水器、ミストシャワーの設置などの状況はどうなっていますでしょうか。お答えください。

鳥取県が発令する熱中症特別警報では熱中症対策として第一に「エアコンを上手に使い、室温を適度に下げましょう」と謳っています。経済的に冷房設備の設置が困難な人はどうすればいいでしょうか。もちろん、冷房の効いた施設や知人宅などへ移動できればいいですが、できない人はどうすればいいでしょうか。熱帯夜と言われる最低気温25℃以上の日も多くなっており、体力の回復もままなりません。防犯上窓も閉めての熱帯夜はエアコンで室温調節をと、これも言われています。そこで、②今災害級といわれている猛暑への対策としては、やはり「家庭に冷房器具の設置補助や電気代助成を」という提案について、今一度検討する時ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

この記録的猛暑に厚生労働省は、生活保護制度の一部改正を通知により行いました。これまでは、生活保護世帯が冷房器具を設置する際は、最低生活費のやりくりによって賄うか、貸付資金の活用によって賄うとされていましたが、今年41日以降に生活保護を利用開始し冷房器具がない世帯には冷房器具本体上限5万円と設置費の必要額を保護費で支給することになりました。例年にない猛暑に対して、国として支援策を立てたことは画期的なことだと思います。しかしこの制度、3月以前からの生活保護世帯は対象になっていません。③早急に、従来からの生活保護利用者に冷房器具設置のためにかかる費用の支給を適用するべきと考えますが、市長の見解を伺います。

今回の制度改正で対象から外された従来からの生活保護利用者が最低生活費の中でやりくりすることは、相次いで保護費が削減されている中でもあり、生活を圧迫することになりかねません。もう一つの貸付資金の活用は、社会福祉協議会の生活福祉資金のことですが、2011年7月に厚労省は、冷房器具を設置するために生活福祉資金の貸し付けを利用した場合は、貸付金を収入認定しない、償還金も経費とみなして収入から控除するとの通知を出し、最低生活費からやり繰りしなくても、貸付金の返済ができ、冷房器具も購入しやすいようになっていました。しかし、そののち償還金を経費とみなし収入から控除する扱いは廃止されてしまったそうです。最低生活費を圧迫するという課題はありますが、④今ある制度で冷房器具が設置できるのであれば、活用を促すことは重要だと思います。この冷房器具を設置するための生活福祉資金の周知や活用の状況はどのようになっていますでしょうか。お答えください。

【市長】①簡易な噴水施設等を公園に設置することを検討してきたが、維持管理やコストの面の問題もあり、実現には至っていない。今後は、ミストシャワーなど、より簡易な仕掛けで涼を感じてもらえるような施設を試験的に設置することも検討していきたい。

②次に、昨年度、熱中症により救急搬送された状況を見てみると、本市では26名が搬送され、そのうちの15名が高齢者となっている。今年度8月までの状況については、40人が搬送され、そのうちの12名が高齢者であり、発生場所は6割に当たる7名が自宅で、そのうち5名については、エアコンが設置されていたけれども使用されていないという状況だった。地域包括支援センター職員が訪問した先では、エアコンがほぼ設置されていたが、中には、エアコンを使用していない状況もあり、職員が必要性を説明し、使用に至ったケースもあったので、適切な使用についての啓発も重要だと考えている。また、高齢者の方へは、ふれあいの家や講演会などの機会をとらえて、水分補給の方法など、脱水状態にならないための予防対策についての啓発を行っているほか、民生委員にも、見守り活動とともに熱中症の注意喚起を継続してもらっている。提案の、冷房器具の設置補助や電気代助成については、今後、調査研究をしたいと考えているが、熱中症は、室温などの環境条件だけでなく、急に暑くなった日や、暑い環境で活動することに慣れていない人が、体温調節がうまくいかず発症することも多いことから、対象者に応じた熱中症予防法の啓発についても引き続き努めていく。

 ③生活保護受給世帯の冷房器具については、8月末現在で、施設入所者を除く世帯のうち、約95%の世帯が所有している。今回の国からの通知を受け、対象となる世帯については、すでに対応済みだが、対象とならない生活保護受給世帯については、従来からの生活保護実施要領に基づき、社会福祉協議会が相談窓口となる生活福祉資金を案内して対応することとしており、現在のところ、国からの通知の対象世帯以外の世帯に対して冷房器具設置にかかる費用を支給することは考えていない。④冷房器具を設置するための生活福祉資金周知については、相談があった生活保護受給者には適切に案内、説明をしているが、冷房器具購入のための生活福祉資金利用実績はなかった。

【教育長】①暑さ指数を計るWBGT測定器については、各小中学校すべてに設置をしている。運動は原則禁止の目安となる、暑さ指数31℃以上を測定器が示した際に、学校内での運動は原則中止している。冷水器は第2中学校、ミストシャワーは中学校3校に設置済みだが、遮光フィルムについては設置していない。

(追及質問)

①【安田】この猛暑の中でも、水木しげるロードには多くの観光客と市民が訪れていました。また、中学校では夏休みの間も熱中症対策に配慮しながら部活動などが行われていました。これらの場所で工夫されていたのが、水の工夫です。水木しげるロードの2か所の手押しポンプには人だかりができ、一部店舗に設置されたミストシャワーにお客さんもひと時の涼を味わっておられたように感じます。やはり人の集まるところには夏には水辺が欲しいものということで、以前から提案があったが、確かに維持管理の難しさはあるということだが、人が集まるところということで言えば、今、仮称境港市民交流センターの建設に向かうところだが、ここは人が集まるところということですので、センターの敷地内、あるいは隣の中央公園にも噴水やミストシャワーなどの設備を整備してはどうか。

【建設部長】人が集まるところを中心に、試験的につけることを検討していきたい。

【安田】ミストシャワーについては、先ほど言ったように、水木しげるロードに何か所か、ドライミストというものだそうだが、まだ数か少ない。うちにもつけたいけれど高額でつけられない、ということがあれば、ミストシャワーを設置する店舗に補助をするということも検討してはどうか。

【産業部長】水木しげるロードのハードはほぼ終わったということであり、今現在でも、各店舗、あるいはロード商店街が設置しているわけで、個々の店舗についてはロード振興会という大きな組織もあるので、一つの目安を持たれるのがいいと思うが、各店舗で従来通り考えてもらいたい。

【安田】次に学校ですが、二中に話を聞きに行きましたが、ミストシャワーや冷水機の設置をされ、生徒も上手に使っていると聞きました。冷水器の設置については生徒の要望を受けて、PTAやOB会からの補助もあったということですが、冷水器、ミストシャワーは小学校にも財政措置をして全校に広げてはどうか。

【教育長】冷水器の利用についても、ミストシャワーについても、学校の工夫の中で設置をしてもらっている。今年度そういったものの利用をしているので、実態や効果を学校から聞いて、必要であれば小学校を含めて設置をしていくことを検討していきたいと思っている。

【安田】ミストシャワーは安価なもので5千円から設置可能なものもありますので、学校だけでなく、子育て支援施設や保育園にも応用できるのではないか。

【福祉保健部長】子育て支援施設についても実態を確認して、必要であれば検討していきたい。

 

②【安田】次に冷房器具設置の補助や生活保護からの支給についてです。私たち会派として、市長に申し入れもしたところですが、改めてお尋ねします。福島県相馬市は、市内の生活保護世帯と65歳以上の高齢者がいる住民税非課税世帯を対象に、冷房器具設置費を独自に補助することを始めています。

 同様の独自助成は、東京の荒川区でも高齢者世帯、障がい者や要介護4以上の人がいる世帯、未就学児がいる世帯でエアコンのない世帯に、5万円を上限に助成すると発表するなど、独自に冷房器具設置を補助する自治体が生まれています。

繰り返しますが、災害に匹敵する異常気温です。今年の平均気温は史上2位ということで、平成13年(2001年)も平均気温としては高かった、WBGTのデータを見ても、(平成24年)2012年の方が今年よりも高かったという指標もあります。今年だけに限ったことではないということを考えると、国の制度設計も必要だと感じるが、市独自でできること、制度設計し実践しながら国にも設置費の助成制度を立ち上げるべきと要望していくべきではないか。

【福祉保健部長】申し入れを受け、荒川区と相馬市が独自でそういった対応をしていることは検討させてもらった。境港市の実態を調査研究し、どういう対応を進めていくのかということを含めて考えていきたい。

【安田】荒川区のものについては、所得制限なしだったり、本当に手厚い措置だと思う。エアコンがなくても対応できることももちろんあると思うが、体温調節が難しい高齢者、障がい者、乳幼児などについては、やはりエアコンが必要なのかなと思う。もちろん購入を自発的にされる方がほとんどだと思うが、それができないという方に対して、あるいはそういった方々への支援として優れた制度だと思うので、ぜひ前向きにご検討をいただきたいと思う。

 

③次に生活保護の制度改正についてです。生活福祉資金を利用してのエアコン設置は、今年度はされていないということだが、情報提供をしていても、生活福祉資金を利用されない理由は把握しているか。

【福祉保健部長】相談のあった4件について、この制度について説明をしたが、借りるということで、返さないといけないというようなことで、やめておこうかということだったと聞いている。

【安田】だいたい、生活保護世帯に対して、電化製品だとか炊事用具などについても、「一時扶助」は原則的には生活保護の新規開始時などにしか認められていません。エアコンだけに限らず、家電も10年持てばいいほうだという状況の中で、その都度最低生活費のやりくりでやるだとか、生活福祉資金を借りて返済に回さないといけないお金が生じてくるということは、やはりご苦労ではないかと思う。生活保護利用者に支給が認められている住宅維持費というのが、網戸の設置だけは認められていると聞きました。日本の今の夏は網戸で対応できるものではないということも、皆さん感じておられると思う。現実に適した制度に改定する必要があります。

さまざま、生活保護の制度改善、もちろん市でできることがあればと思うが、国の今回の一部改正については不十分ではないかと思っている。さらに従来の生活保護世帯も利用できるように国で制度改善をするように、強く要望をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

【福祉保健部長】現時点では考えていないが、これについては、生活保護の方だけではなく、全体で考えていくべきことだと考えている。

 

④【安田】生活費をやりくりしながらの中で、やはりエアコンを買えないという判断をされて、エアコンない中でも水風呂に入るとか、ほとんど裸で過ごしているとか、体調が悪くなる寸前だという声も聞く。市独自で利用できる制度があればいいと思うが、今の生活福祉資金ももう少し利用しやすいものになればいいと思う。2011年に一度あったように、償還金を経費とみなして収入から控除するというやり方は何でなくなったのかと思うが、どのように理解しているか。

【福祉保健部長】わずか数年間だったと思うが、そういった対応がなされていたことは承知している。国のそういった制度により、地方で混乱をするようなことがあってはいけないということで、国も予算があってのことだと思うが、そういったことがないようにしてほしいと考えている。

【安田】生活福祉資金で冷房器具を設置した場合、無利子で分割の回数も比較的多めに分割返済ができると聞いているが、間違いないか。

【福祉保健部長】利用できるのが福祉費で、据え置きを6か月置いて20年間で返済するというもの。連帯保証人があれば無利子で、なければ有利子でということになる。もう一つ緊急小口資金というのもあり、これは10年以内で無利子で保証人もなくてもいいということなので、どちらかを利用してもらうことになると思う。

【安田】利用されない理由のところで、返済が生じることを心配してということがあったが、10年や20年で返済すればいいということで、「月にすればこれだけずつ返せばいいんだから借りていこうよ」という丁寧な説明や助言が必要だと思うが、実際は行われているかということも含め、お答えください。

【福祉保健部長】電話での問い合わせ等だが、小さな額まで説明しているかは承知していないが、こういった制度については細かく何年返済が可能だというところまで説明している。

【安田】ただ、返済が少額で済むとはいえ、やはり相次いで保護費が削減されている中、冠婚葬祭も食費も電気代も切り詰めて生活をするという実態がある中で、当事者が利用をためらうように返済の心配をするということは理解できるものだ。ただ、資金を利用すればエアコンを設置できるということで、粘り強く指導や助言をしてもらいながら、市独自の助成制度や国に対する要望などもご検討をいただきたい。

【福祉保健部長】市独自の助成については、実態をまずつかむところから始めて、するのかしないのか、どういった形でできるのか、きちんと考えていきたい。