6月議会報告①

島根原発にかかわる動き活発化

6月29日閉会した境港市定例6月議会には、島根原発にかかわる11本の陳情が提出されました。すべて総務民教委員会に審議は付託され、陳情者の意見陳述も受け、26日の委員会採決を経て、29日議決され、以下6本の陳情が採択されました。

番号 案件 議決年月日 議決結果
       
第 8 号 中国電力との間で「事前了解権」を認める安全協定を締結することについての陳情 6月29日

採択

(全会一致)

第 9 号 「事前了解権」を認める安全協定締結まで、島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性審査申請に関する判断を行わないことについての陳情 6月29日

採択

(賛成多数)

第 10 号 実効性ある「避難計画」を策定するまで、島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性審査申請を行わないよう中国電力に求めることについての陳情 6月29日

採択

(賛成多数)

第 11 号 島根原子力発電所に係る「検討委員会」設置を鳥取県に求めることについての陳情 6月29日

採択

(賛成多数)

第 12 号 鳥取県に設置を求めた「検討委員会」が、十分な審議を終えるまで島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性審査申請に関する判断を行わないことについての陳情 6月29日

採択

(賛成多数)

       
       
第 16 号 中国電力による島根原発3号機の適合性審査申請に関する陳情 6月29日

採択

(賛成多数)

       

陳情第10号については、この結果を受けて中国電力に対する決議も提出され、賛成多数で可決されました。末尾に決議を掲載します。日本共産党市議団の安田、長尾は、いずれも賛成しました。

 陳情不採択を主張する議員の意見は「今の協定を破棄することになり難しい」(9号)、「避難計画の実効性や精度を高める必要はあるが100%は無理」「審査申請と結び付けられない」(10号)、「既存の顧問会議や検証チームで不十分とは言えない」(11、12号)などでした。

 

 中国電力は、今年4月鳥取県、米子市、境港市と各議会にそれぞれ島根原発3号機の概要説明を初めて行い、それを受けて県と両市は「共同検証チーム」を立ち上げ、検証を始めました。しかし、検証半ばの5月22日、中国電力は島根原発3号機の新規制基準適合審査申請を行うための事前報告を鳥取県、境港市、米子市に行ったのです。同日、中国電力は安来市、雲南市、出雲市にも事前報告、立地自治体である島根県、松江市に事前了解を求めました。

 今回の陳情はこの一連の動きを受けての、市民の声です。境港市の中村勝治市長は7月末までに市議会の意見を聞いて審査申請についての判断をしたいと表明しています。議会は、7月31日に中村市長出席のもと全員協議会を開き、全議員が意見を表明し、議会としての意見はまとめないことを決めました。中国電力も鳥取県、島根県もいつまでに判断をと期限を切っていません。中村市長には、もっと市民の意見も聞いて、さらに島根原発についての知見を集め、また、今回の陳情に対する議会の判断も受け止めてもらう必要があります。全員協議会でも、拙速な判断をしないよう求めたいと思います。

 

 

「実効性ある『避難計画』を策定するまで、島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性審査申請を行わないよう求める決議」

 島根原子力発電所のUPZ(30㎞圏)は、島根県、鳥取県の双方にかかり、島根県側では県庁所在地の松江市や人口の多い出雲市、中海を挟んで隣接している境港市・米子市が該当することから避難対象人口は、茨城県の東海第二原発、静岡県の浜岡原発に次いで多い。島根原子力発電所で事故が発生すれば、風向きによっては、境港市は立地自治体である松江市と同様ないしそれ以上の被害を被る恐れがある。

 しかし、現在の避難計画では、PAZ(原発から5㎞圏内の予防的防護措置準備区域の住民が先に避難し、その後にUPZ(5~30㎞圏内の緊急的防護措置準備区域)の住民が避難するという、二段階の非現実的な避難計画となっている。

 また、「災害時要援護者の避難については、避難に伴うリスクを軽減するため十分な準備が必要であり、避難準備が整うまでは屋内退避を行う」とされているが、現実的に屋内退避では放出される放射性物質からの被ばくを最小限にとどめることは極めて容易ではない。

 よって、境港市議会は、住民の安全・安心を確保する観点から、原発事故における放射線による住民の被ばくを避けることができる実効性のある「避難計画」が策定されるまで、中国電力株式会社に対して島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性審査申請を行わないよう、強く要望する。

 以上、決議する。