6月議会報告(1)

市会議員になってから2回目の定例議会でした。

いろいろなことがあった議会でしたが、まずは私の一般質問から概要を。

 

(1)子ども子育て新制度への移行について

 制度の具体化はこれからですが、子どもの発達と権利を守るための保育の質を保つよう要望し質問しました。概ね要望通り、子育てするなら境港の名にふさわしく体制を整えるとの答弁でした。今後も新制度の実施まで計画や条例の検討過程をしっかり見守りたいと思います。

 安田:境港市では、昨年度中に市内の就学前児童のいる世帯にニーズ調査を実施、今年3月第1回子ども子育て会議を開催。しかし国の制度設計の遅れもあり、ニーズ調査の分析、子ども子育て会議での検討、計画の策定も遅れているのが現状。無理な日程で制度の検討や住民への周知が疎かにならないか、担当者の加重負担になり保育所運営に事故が生じないか、心配。来年4月の実施にこだわらず、自治体の現状に応じて実施の延期ができるように県や国に求めてはどうか。

 市長:国の態度決定が遅れたために本市の取組状況にも影響が生じており大変タイトなスケジュールになることが予想されるが、国等に実施の延期を求める考えはない。

 福祉保健部長:保育現場、保護者、子どもたちに影響があってはならないとの強い決意で、担当者の方で努力をしている。「子育てするなら境港市」という言葉にふさわしく、制度移行についてもすみやかに周知も十分に行い、支障なくし実施したい。

 安田:無理のないよう適切な人員配置をお願いしたい。

以下、新制度の内容について。

 安田:単県の補助事業により保育基準や保育士配置の改善、保護者負担の軽減など、現行の補助事業は最低限継続することを県に求めることが必要。

 市長:県で引き続き補助したい考えと伺っている。市町村および保護者の負担増ということのないよう、県と協議をしていきたい。

 安田:どの保育施設においても保育料の保護者負担に差が生じないよう、また、保育者全員が有資格者になるよう、条例等に規定をしていただきたい。

 市長:保護者負担については、現行の保育料を維持して大きな差が生じないよう努める。保育基準は全ての保育所でクリアしているが、全国的に保育士が不足している状況で、保育士資格がない方でも、昼寝時間の見守りなど保育補助で勤務して頂いている。

 福祉保健部長:短時間でも有資格者が望ましいと考えており、求人を行っているが、残念ながら不足している現状がある。今後も有資格者での保育を行っていきたい。本市では、保育所、幼稚園、認定こども園といった施設型保育を基盤としてしっかり保育を行っていきたい。地域型保育についても計画あるいは条例にしっかり位置づけて、いつでも参入できるような体制は整えておく。

 安田:障害児や被虐待児など、特別に配慮を必要としている子どもについては国の通達により、保育所入所にあたって優先的に取り扱うことという助言がされている。市の基準の中に優先入所ということを明記されてはどうか。

 市長:国の基準にも、ひとり親家庭、虐待やDVのおそれがあり、社会的養護が必要な場合、子どもが障害を有する場合などが優先利用の具体例として上がっているので、本市でもこれまでと同様に配慮すべき事項として何らかの形で明記できればと考えている。

 

(2)集団的自衛権行使容認と美保基地強化について

 集団的自衛権についての市長の賛否の表明はありませんでしたが、「国でしっかり大いに議論してもらいたい」との発言あり、一片の閣議決定での憲法解釈変更では不十分という見解に共通するものがある、と感じました。でも、自衛隊員の命や生活については何と思っておられるのか、聞きたかったなあ。

 安田:安倍首相が、集団的自衛権の行使容認を可能にする憲法解釈変更を、今国会の会期中に閣議決定しようとしていることに、各界から反対の声が上がっている。集団的自衛権行使とは、日本が武力攻撃を受けていないのに、攻撃を受けた他国のために武力を行使して戦争に加わることであり、主たる任務を専守防衛に限ってきた自衛隊が、日本の国外で他国とともに戦うことを意味する。これまで、歴代政府は、一貫して「集団的自衛権の行使は、憲法上の許容する自衛権の範囲を越えるものであって許されない」との見解を堅持してた。だからこそ自衛隊は海外でただ一人の戦死者も出さず、他国民を殺すこともなかった。本市には、多数の自衛隊員がくらしておられる。今後自衛隊の活動の枠が広がっても、境港に住む自衛隊隊員の中からも海外へ派遣されることになる。

 憲法を順守することを誓った行政府として、一内閣による憲法解釈の変更に抗議と反対を、そして、市民の命と暮らしを守るため、集団的自衛権の行使容認に反対の意思を表明するべきではないか。

 市長:集団的自衛権の問題については、我が国の安全保障の根幹とも言える重要なものであり、当然、国政の場で十分に議論され、決定されるべきものと考えている。集団的自衛権行使を可能とする場合の、憲法改正の必要性の判断をはじめ、法整備などについても同様である。したがって、市としてそういった賛否といった意思表明等を行う考えはな い。

 集団的自衛権については、安田議員の考えとは対局にあるような、認める意見も国民の中に存在している。しっかりと国会で大いに議論をして、方向性を出していただく、個人的にはいろんな思いを持っているが、それをもって市の立場で賛否の意思表明をするのは適切ではないと考えている。

 安田:戦後侵略戦争を禁じる基本法を制定したドイツでは、湾岸戦争のあと、基本法の解釈を変更して海外派兵を展開。後方支援として参加し始めたアフガニスタン戦争でも結局本格的な戦争に巻き込まれ、55人の死者が出ており、PTSDの患者も急激に増えている。私達の大切な友人である自衛隊員やその家族が犠牲になるようなことがないようにしていただきたい。

 市長:これまでの議論を見ると、他国のすべての戦闘に自衛隊が参加して集団的自衛権を行使するというわけではない。かなりの歯止めがかかっている。それがまさに今の議論の的になっている。無条件に集団的自衛権の行使を認めるのはどうかと私も思うが、それにはかなりの縛りをかけて、我が国の存立が危ぶまれるような事態には行使をするとかいう案が出されている。そういった部分を大いに議論していただきたいと思う。個人的な見解は申し上げないことにする。

 安田:美保基地に関連して。2014年度から2018年度までに、美保基地に陸上自衛隊の大型輸送ヘリコプターCH-47JAを配備するということが予定されている。現政府の集団的自衛権行使容認を目指す動きの中では、この大型ヘリの配備も当然ながら軍事力強化ということに他ならず、アジア諸国との緊張を高めることも懸念される。

 大型ヘリの配備要請を撤回し、対岸諸国との交流を進めるとともに、国に対して対岸諸国との外交努力をするように強く求める必要があるのではないか。

 市長:大規模な災害が発生した際に、救援物資の輸送や被災者の救援の手段として、自衛隊の大型輸送ヘリコプターがきわめて有用であることから、市議会や中浜地区の自治会長に説明をし、了解をしていただいた上で、H17年から鳥取県とともに要望活動を行ってきた。大型輸送ヘリコプターが配備されれば、本市だけでなく山陰地方の災害時などの対応力が格段にアップするものと考えており、あくまでも、防災の観点から要望活動を行っている。

 外に向かって攻撃をするようなヘリコプターではなく、国土を防衛するという観点からこの美保基地に大型ヘリを配備されれば国も守りにも資する。そしてさらに、その地域の防災にもたいへん大きな力を発揮するということであるので、対外的な懸念というのはないものと思っている。

 安田:国に対し、基地強化に熱中することなく、対岸諸国との外交努力をするように強く求めることを要望する。

 

3)学校給食用牛乳について

 食育、地産地消、地元産業振興の観点から、給食に県内産牛乳を提供してもらいたいが、それに伴い、保護者負担が増えることのないように、と要望しました。

 安田:現在本市では、給食食材の地産地消を推進し、県内産の食材の使用比率は年々アップしている。地元の産業振興、食育にも資するものである。そんな中、学校給食用牛乳は、従来、県内産の牛乳が提供されていたが、今年度は、県外産の大手業者の牛乳が調達されている。経過の説明を求めるとともに、教育長の考え、今後の対応について尋ねる。

 教育長:現在の制度では、学校給食用の牛乳は入札が前提であり、鳥取県は、この制度に基づいて県外業者を含めた入札を行っている。今回、これまで参加のなかった県外業者が入札に参加をして本市を含めた鳥取県西部地区の学校給食用牛乳を落札したことを受け、地産地消を推進している鳥取県は、5月1日に農林水産省に制度改正の申し入れを行いましたが、現在のところでは、回答が得られていない。食育推進の観点からも、地産地消は大切であると考えているので、国や県の動向を注視しながら検討したいと考えている。

 安田:今後の国と鳥取県の対応如何によっては、国の補助金が交付されない可能性もあるが、そうなった場合には、安易に保護者負担を増やすことのないよう県や市で助成をするなど検討していただきたい。

 教育長:県による入札を経ないで学校給食用牛乳を購入する場合には、原則として国からの補助金が交付されなくなるので、その差額については、保護者に負担してもらうことになる。保護者の負担が極力増加をしないように、県とともに今後の情勢を見守っていきたい。